名前にあるカルカデは、ハイビスカスを煎じたルビー色の飲み物のこと。ルージュ カルカデは、その酸味のある赤をザクロジャムの濃い甘さと並べて香りの入口に置く。中盤では同じ花を、今度はハイビスカスの花びらとして咲かせる。飲み物と花弁、ふたつの姿のハイビスカスが重なるところに、この香りの面白さがある。
赤い層に冷たさを差し込むのは、南アフリカ産のブチュ。西ケープの生物多様性に富むフィンボスに育つ固有の植物で、葉を水蒸気蒸留した精油には、ミントと樟脳の涼しさと、カシスを思わせる鮮やかさが同居する。甘酸っぱい果実と花に、この葉の青い刺激が細い筋を通す。
思い描かれているのはサハラの日没だ。深紅の空、椰子に囲まれたオアシス、灯り始める油ランプ、黄金色の砂に広げられる絨毯。マダガスカル産バニラとコモロ産イランイランが花びらにクリーミーな丸みを与え、モロッコ産シダーウッドアトラスと漂うウードスモークが、香りを夜の始まりへ導く。







