マティルド・ローラン

天然・合成の区別を越えて素材を読み替え、大胆さと明瞭さを両立させるフランスの調香師。

France

調香師マティルド・ローランのポートレート

マティルド・ローランについて

マティルド・ローランは、フランスを代表する調香師の一人である。1970年にヌイイ=シュル=セーヌで生まれ、パリのモンパルナスで育った。芸術家の家庭に育ち、幼少期から嗅覚を通して世界を捉える習慣があったという。科学のDEUGを取得後、ヴェルサイユのISIPCAで調香を学び、1992年に卒業。

経歴

ゲランでは11年間、ジャン=ポール・ゲランのもとで研鑽を積み、『アクア・アレゴリア パンプルリュンヌ』『ゲ=タン』『シャリマー オー・レジェール』などを手がけた。2005年にカルティエに移籍し、同社初の専属調香師となった。

創作スタイルと哲学

ローランの作風は、シンプルな構成でありながら大胆で繊細なハーモニーを生み出すことにある。彼女は「美しいものを作るのに狂ったインスピレーションは必要ない。シンプルで明白なアイデアを、最大の美しさで表現することが重要だ」と語る。また、ジェンダーや既成概念にとらわれず、ノートの再解釈を得意とする。

代表作

  • 『ベーゼ ヴォレ(カルティエ、2011年)』— ユリを葉、花弁、雄しべの三つの側面に分け、みずみずしさ、花の厚み、パウダリーな余韻を一輪の中に立ち上げた作品。
  • 『ラ パンテール(カルティエ、2014年)』— 光沢のあるガーデニアに、動物的なムスクと苔の陰影を重ねた現代的なフローラル・シプレー。花と「パンテール」の二面性を一つの構成にした。
  • 『ランヴォル(カルティエ、2016年)』— 淡いハチミツの甘さとムスクの透明感を、空気を含むウッディな骨格にのせた香り。重さを抑えながら上昇感を描いている。

手がけた香水