マッチャマンゴー

マッチャマンゴーは、熟したマンゴーと抹茶を合わせたドリンクから着想を得た香水です。果実の甘さにココナッツミルクのまろやかさが重なり、タバコの温かさと海藻の塩気へつながります。

#538 · 2026-11-08

Laboratorio Olfattivo / Matchamango

香水の基本情報と第一印象

ラボラトリオ オルファティーボのマッチャマンゴーは、抹茶とマンゴーを合わせたドリンクから着想を得た香水です。中心にあるのは、熟したアルフォンソマンゴーの甘さと、抹茶の青い苦み。その取り合わせにココナッツミルクのまろやかさが加わり、最後はタバコの温かさと海藻の塩気へ進みます。飲み物のような親しみやすい入口を持ちながら、甘い果実の印象だけでは終わらない構成です。

アルフォンソマンゴーは、出だしを担う素材として挙げられています。そこへカルダモンのスパイスが重なるため、果実の甘さとともに、少し違う角度から香りを感じられる組み立てです。抹茶はマンゴーの後ろに名前だけ添えられた素材ではありません。青さと苦みが、熟した果実との対比をつくります。この二つを一杯に合わせた着想が、香り全体を読む鍵になります。

ボディには抹茶、ココナッツミルク、ジャスミンが並びます。ココナッツミルクの甘くまろやかな質感は、マンゴーと抹茶の間に厚みを加えます。ジャスミンは花の香りを添える素材です。そしてベースにはタバコ、海藻、カシュメラン。タバコの温かさと海藻の塩気が入ることで、果実と乳感の甘さに別の表情が生まれます。

国内では2026年の新作として発売され、30mLと100mLが販売されています。ボトルは、ラボラトリオ オルファティーボの香水に共通する肩の丸い形です。巻いたラベルの上半分にブランド名、線を挟んだ下半分には同じブランド名を上下逆さの鏡文字で入れ、香水名はタイプライター風の文字で記します。同じエクストリーム コレクションのアンバーボム、ウード イン ホワイト、ヴァナグローリアは黒いラベルに黒いキャップ。本作は琥珀色のガラスに赤茶色、いわゆるテラコッタ色のラベルを合わせ、キャップと香水名を金色にしています。同じ形でも、色で印象ががらりと変わります。

抹茶の香りが好きで、果実と合わせた抹茶も試してみたい人に向く一本です。まず惹かれるのはマンゴーかもしれませんが、この作品を選ぶうえでは抹茶の苦みと海藻の塩気も大切です。最初の印象だけで決めず、肌の上でマンゴーと抹茶の感じ方を確かめてください。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

マッチャマンゴーの調香師として名前が挙がるのは、ジュリアン・ラスキネです。出発点は、いま人気を集めている抹茶とマンゴーのドリンクの組み合わせです。日本の発売元は本作を「大胆な一杯」と呼びます。抹茶の苦みと青さに、熟したアルフォンソマンゴーをぶつける飲み物に見立てた言葉です。一口目にあたるのが、マンゴーの甘さと抹茶の苦みが重なる出だし。そこからココナッツミルクの甘くまろやかな質感へ移り、最後にタバコの温かさと海藻の塩気が残ります。一杯を飲み進める流れを、香りの変化に重ねた構成です。甘さ、苦み、塩気の関係が、作品の中心にあります。

ラボラトリオ オルファティーボは、2009年にイタリアで生まれたブランドです。その名前には「嗅覚の実験室」という発想が込められています。研究や原料、調香芸術を重視し、調香師の着想や構想を香りへ変える場を目指すという姿勢は、ドリンクの意外な組み合わせから始まる本作にも通じます。身近な飲み物の発想が、肌にまとう香りへと姿を変えました。

トップに挙げられるアルフォンソマンゴーには、「アロマスペース」という表記が添えられています。カルダモンにはグアテマラ産という記載もあります。ただ、素材名や表記だけで香りの感じ方が決まるわけではありません。この作品でまず確かめたいのは、マンゴーの甘さが抹茶の青さや苦みとどう重なるか、そして乳感から塩気へ進む構成です。

日本では、2026年10月7日に伊勢丹新宿店で始まった香水の催し「サロン ド パルファン 2026」で先行発売され、同月30日に全国発売されました。販売元は本作について、「本物のドリンクと同じくらい至福の感覚をもたらし、それでいてはるかに長く続く香りを目指した」と記しています。飲み物は飲み終えればそこで終わりますが、香りなら長く続く一杯として身にまとえる、という発想です。

香りの詳細分析

香りの構成は、トップ、ボディ、ベースの三段階で示されています。トップはアルフォンソマンゴーとカルダモン。熟した果実を思わせる甘さに、スパイスが並ぶ出だしです。マンゴーを中心に感じるとしても、この段階だけで全体を決めると、抹茶や海藻が担う部分を見落とします。甘さから始まって、苦みと塩気へ向かう設計に沿って確かめたい香りです。

アルフォンソマンゴーと抹茶は、同じ種類の甘さを重ねる組み合わせではありません。マンゴーは熟した果実の印象をつくり、抹茶は青さと苦みを持ち込みます。ドリンクのペアリングが着想にあるため、二つの対比は名前の面白さにとどまりません。果実の甘さをどこまで感じるか、抹茶の苦みがどのように重なるかが、この作品らしさを左右します。

ボディに入るココナッツミルクは、甘くまろやかな乳感を加えます。マンゴーと抹茶の間にやわらかい厚みが生まれ、ジャスミンはそこに花の香りを添えます。抹茶を単なるお茶の香りとしてひとまとめにせず、青さと苦みを意識すると、ココナッツミルクとの違いもつかみやすくなります。甘い果実、青い抹茶、まろやかな乳感が、ボディの主な手触りです。

ベースにはタバコ、海藻、カシュメランが置かれています。タバコの温かさと海藻の塩気は、果実とココナッツミルクの甘さに続く、意外な組み合わせです。カシュメランもベースの一つとして挙げられています。ここまで確かめると、マッチャマンゴーがマンゴーと抹茶だけで完結する香りではないことが分かります。甘さの後に残る印象までが、作品の構成です。

ノートの順序は香りを試す際の道筋になりますが、肌の上で誰もが同じ順番や強さで感じるとは限りません。マンゴーを強く感じ、後からココナッツを感じる一方、抹茶は感じなかったという感想もあります。とくに抹茶の苦みを期待して選ぶなら、自分の肌でその存在感を確かめてください。最初の果実感と、後に続く乳感や塩気の両方を見ることが大切です。

他の香水との比較・ポジショニング

抹茶の表現を比べるなら、ル ラボのマッチャ26が分かりやすい相手です。どちらも抹茶を中心に置きますが、合わせる素材が異なります。マッチャマンゴーはアルフォンソマンゴーとココナッツミルクを重ね、熟した果実の甘さと乳感を持たせます。マッチャ26は抹茶のアコードにイチジク、ベチバー、ビターオレンジを合わせる作品。果実と乳感まで欲しいなら本作、イチジクとベチバーを伴う抹茶を試したいならマッチャ26です。

マンゴーとココナッツミルクの組み合わせでは、ミュウミュウのミュウミュウ フルール ド レイとも接点があります。ただし、マッチャマンゴーには抹茶、カルダモン、海藻も並びます。ミュウミュウ フルール ド レイはマンゴーとココナッツミルクにオスマンサスを合わせる香りです。果実の甘さに苦みと塩気も求めるなら本作。マンゴーとココナッツミルクに花の表情が加わる組み合わせを試したいなら、ミュウミュウ フルール ド レイが候補になります。

マンゴーの熟し方に目を向けると、エルメスのナイルの庭との違いが見えてきます。両作ともマンゴーが特徴的な素材ですが、ナイルの庭は青いマンゴーにロータスとシカモアを合わせます。対してマッチャマンゴーは、熟したアルフォンソマンゴーに抹茶とココナッツミルクを重ねます。熟した果実の甘さを中心に試したいなら本作。青いマンゴーとロータスの組み合わせに惹かれるなら、ナイルの庭です。

三つを並べると、同じ素材名があっても、香水の方向は一つに定まりません。抹茶なら、果実と乳感を合わせるか、イチジクとベチバーを合わせるか。マンゴーなら、熟した甘さを抹茶の苦みと塩気へつなぐか、オスマンサスを添えるか、青い果実として使うか。マッチャマンゴーの位置づけは、甘い果実から始まりながら、抹茶と海藻まで含めて楽しむところにあります。

購入ガイド・価格・おすすめ度

国内では、マッチャマンゴーはエキストレドパルファムとして販売されています。容量と税込価格は、30mLが20,900円、100mLが41,800円です。二つの容量が案内されており、選ぶ前に確認したいのは、どれだけマンゴーの甘さを求めるかだけではありません。抹茶の青い苦み、ココナッツミルクの乳感、タバコと海藻の印象まで、自分に合うかを肌で確かめると判断しやすくなります。

最初にマンゴーが強く感じられたら、そこで試香を終えず、ボディとベースにも目を向けてください。抹茶を期待している人には、とくにその感じ方が大切です。マンゴーの甘さに満足しても、後に続く塩気が好みと違うことはありえます。反対に、果実の香りだけでは甘すぎると感じる人には、苦みと塩気が加わる構成が選ぶ理由になるでしょう。

30mLと100mLでは、手に取る量を選べます。まず肌で試して香りの全体像を知りたい人は、最初の印象と後の印象を同じ日に確かめてから容量を考えるのが自然です。国内の価格や販売状況は変わりうるため、購入時には最新の表示を確認してください。濃度の呼称だけから香りの残り方を決めつけず、実際の肌での感じ方を優先したい作品です。

実際の使用感・シーン・評判

マッチャマンゴーを手に取りたくなるのは、甘い果実の香りに、抹茶の苦みや海藻の塩気も欲しいときです。ドリンクから生まれた着想は親しみやすい一方、香りの行き先にはタバコと海藻が待っています。マンゴーだけを目的に選ぶよりも、その先にある青さや塩気まで含めて楽しめるかが、この香水との相性を決めます。

試すときは、出だしのアルフォンソマンゴーから始め、抹茶とココナッツミルク、最後のタバコと海藻へと意識を移してみてください。マンゴーを強く感じ、後からココナッツを感じる一方、抹茶は分からなかったという感想もあります。素材の感じ方が違うからこそ、抹茶を目当てにしている人は、自分の肌で苦みや青さを確かめる価値があります。

季節や時間帯を一つに決めるより、まずはこの甘さ、苦み、塩気の組み合わせが自分の好みに合うかを見たい香りです。果実と乳感のまろやかさが魅力でも、ベースには温かさと塩気が置かれています。着用する場面を考える前に、最初と後の印象を比べる。そのひと手間で、マッチャマンゴーの甘さだけでは語れない表情が見えてきます。

香水・ブランド・調香師