オー キャピタル
オー キャピタルは、豊かなローズにベルガモットの爽やかさ、ピンクペッパーの刺激、パチュリの深みを重ねたシプレです。パリの建築に着想を得たラベルとともに、ディプティックが生まれた街の多面的な魅力を表しています。
#521 · 2026-10-22
香水の基本情報と第一印象
ディプティックのオー キャピタルは、豊かなローズを中心に、ベルガモット、ピンクペッパー、パチュリを重ねたオードパルファンです。香調はシプレ。明るい柑橘の香りで始まり、苔を思わせる落ち着いた深みのある土台へつながる香りの系統で、明るさと陰りの対比が特徴です。ディプティックが生まれた街、パリへの賛辞として作られました。街に幾つもの表情があるように、ローズの華やかさだけで終わらない香りです。柑橘の明るさとスパイスの刺激が花に触れ、その下でパチュリがシプレらしい深みを支えます。
まず思い浮かべたいのは、一輪ではなく、あふれそうなほど豊かなローズの花束です。ベルガモットはその量感に爽やかさを添え、ピンクペッパーは柑橘に軽い刺激を加えます。ローズを主役として楽しみながら、明るさときりっとした表情も感じられる組み合わせ。パチュリまで含めて試すと、この作品が単なるローズの香りではなく、シプレとして作られた理由がつかみやすくなります。
ディプティックは、幾つもの側面を持つシプレと、幾つもの顔を持つパリを重ねています。その発想はラベルにも続きます。エッフェル塔、ローズ、羽を広げた孔雀。街を示す図柄と香りの素材が並び、パリへの思いをそれぞれの形で表しています。秋や春の涼しい時間帯なら、豊かなローズとパチュリの組み合わせを楽しむ場面として選びやすいでしょう。
調香師・ブランドの背景と制作秘話
オー キャピタルの調香師として紹介されるのは、オリヴィエ・ペシューです。ペシューは、パリを表すためにシプレを作りたかったと語り、その理由にシプレの抽象性、神秘性、優雅さを挙げました。特定の建物や通りを一つ選ぶ代わりに、表情の移り変わる街を香りの組み合わせで表す。その考えが、ローズ、ベルガモット、ピンクペッパー、パチュリを持つ本作につながっています。
ディプティックにとって、パリはブランドが生まれた街です。オー キャピタルを含むコレクションには、その街への賛辞と自由への思いが込められています。ペシューが、パリ生まれのブランドにはまだ街への賛辞となる香りがないと気づいたことから、シプレを構想したという話もあります。シプレを選んだ理由を知ると、華やかなローズの奥にパチュリを置いた組み合わせにも、街の一面だけを描かない意図が見えてきます。
香りに呼応する図柄には、イラストを手がけたピエール・マリーとディプティックが関わりました。着想源はパリの建築と、植物や曲線を装飾に取り込むアール・ヌーヴォーの建造物です。ラベルにはエッフェル塔やローズ、孔雀のほか、流れる書体、渦巻き、交錯する線が重なります。ガラス製のボトルに載ったその図柄は、街の建築や装飾を香りと並ぶもう一つの表現にしています。フレグランスはフランス製です。
香りの詳細分析
オー キャピタルの香りをつかむ手掛かりは、ローズ、ベルガモット、パチュリ、ピンクペッパーの四つです。素材をトップ、ミドル、ベースに分けるより、それぞれがローズをどう変えているかに目を向けると、このシプレが分かりやすくなります。ローズは花束を思わせる豊かさ。花の量感が作品の中心にあり、ほかの三つの素材が明るさ、刺激、深みを添えています。
ベルガモットは柑橘の爽やかさで、豊かなローズに明るい面を作ります。ピンクペッパーが加えるのは、ベルガモットの爽やかさに沿った軽い刺激です。柑橘だけなら穏やかに流れそうなところへ、きりっとした感触が入る。ローズの華やかさと同時に、この明るさや刺激を確かめると、花の厚みだけでは見えない本作の表情が感じられます。
パチュリは、ローズとともにシプレを形づくる大切な要素です。古典的なシプレで苔が担ってきた土台を、ディプティックは本作でパチュリに任せています。そこがこの香りの個性です。ローズが前に出る華やかな香りを探していても、パチュリの深みが好みに合うかどうかは試す価値があります。甘い花の香りを想像して手に取る人にとって、この組み合わせは選ぶ際の大きな分かれ目になるでしょう。
シプレという名前には、長い香水史も重なります。ディプティックは本作の物語の中で、1917年に作られたシプレ・ド・コティに触れています。その系譜を踏まえつつ、オー キャピタルが表すのはディプティックの見たパリです。花束の量感、柑橘の明るさ、スパイスの刺激、パチュリの深み。一つの印象に収まらない四つの手掛かりが、街の多面性という発想を香りに結びつけています。
他の香水との比較・ポジショニング
同じローズとパチュリを軸に選ぶなら、フレデリック マルのポートレイト オブ ア レディーが比較の手掛かりになります。両作とも豊かなローズにパチュリを合わせていますが、オー キャピタルはベルガモットとピンクペッパーで明るさと刺激を添えます。ポートレイト オブ ア レディーでは、ターキッシュローズにラズベリー、カシス、インセンスが重なります。柑橘とスパイスを伴うローズを求めるなら前者、果実やインセンスを含むローズを楽しみたいなら後者が候補です。
ディオールのグリ ディオールとは、ローズを中心に据えたシプレという着想が共通します。オー キャピタルではベルガモット、ピンクペッパー、パチュリがローズを囲みます。一方のグリ ディオールは、ローズにスミレとオークモスを合わせた作品です。ローズとシプレの組み合わせに関心があるなら、まず何を花に添えているかを比べたいところ。爽やかさとスパイスが欲しいときはオー キャピタル、スミレとオークモスを伴うローズを試したいときはグリ ディオールに目が向きます。
もう一つの比較対象は、ゲランのローズ バルバルです。どちらもローズを豊かに打ち出し、パチュリを合わせています。ただし、ローズ バルバルはダマスクローズに、金属的な印象のアルデヒドと蜂蜜を重ねたウッディフローラル。オー キャピタルではベルガモットとピンクペッパーが選び分けの鍵になります。甘さより柑橘とスパイスを手掛かりにしたいならオー キャピタル、蜂蜜を伴うローズに惹かれるならローズ バルバルを試してみたくなります。
三つの作品と比べると、オー キャピタルの特徴は、豊かなローズを明るい柑橘と軽い刺激で受け止めながら、パチュリのあるシプレへつなげる点にあります。すでに甘いローズの香水を持っている人にとっても、違う表情を選ぶ手掛かりになるでしょう。比較するときはローズの強さだけで決めず、花の周りにある素材まで確かめると、それぞれの作品を選ぶ理由がはっきりします。
購入ガイド・価格・おすすめ度
オー キャピタルのオードパルファンは75mLで、2026年の日本公式価格は31,460円です。同じ名前でヘアフレグランス30mLと、リフィラブル ソリッドパフューム3gも展開されています。髪に使いたいのか、肌につける香水を選びたいのか、固形タイプでつけ直したいのか。使い方から製品を選ぶと分かりやすくなります。価格や販売状況は購入前に公式サイトで確認してください。
肌につける香水として本作のローズとシプレを試すなら、オードパルファンが基準になります。試香では、ローズの豊かさだけで判断せず、ベルガモットとピンクペッパーの感触、パチュリとの組み合わせまで確かめたいところです。つけた直後を強く感じるという声があり、暖かい日には重く感じる人もいます。人と近くで過ごす予定があるなら、実際につける量も含めて試すと選びやすいでしょう。
ローズの華やかさは欲しいけれど、甘いローズとは違う一本を探している人には、柑橘とスパイスを伴う構成が手掛かりになります。一方、暑い日中に軽くまとえる香りを優先するなら、涼しい時間帯にも試してから決めるのがよさそうです。ボトルはリフィル対応として案内されていますが、日本国内ではフレグランスのリフィルサービスは行われていません。長く使うことを考える際には、その点も購入前に確認できます。
実際の使用感・シーン・評判
最初に試しやすいのは、秋や春の涼しい夕方から夜です。季節の変わり目を好む利用者の声があり、豊かなローズとパチュリを楽しむ場面として選びやすい季節でもあります。涼しい日の街歩きや、外出先で食事を楽しむ時間が候補になるでしょう。秋なら薄手のコート、春の涼しい日ならジャケットなど、その日の気温に合う服と合わせて考えると、使う場面を思い浮かべやすくなります。
利用者の声には、ローズとパチュリの組み合わせや香り持ちを好むものがあります。その一方で、暖かい季節には重く感じる、つけた直後が強いという感想も見られます。暑い日中は量を控えめに試し、人と近くで長く過ごす日は、出かける前のつけ方を確かめるとよさそうです。肌や衣服での残り方は一律に決められないため、自分の肌で確かめることが、使う量を選ぶ助けになります。
ラベルに描かれたエッフェル塔や孔雀を眺めたあとで香りを試すと、パリへの賛辞という作品の発想がより具体的になります。豊かなローズだけを追うのではなく、ベルガモットの明るさ、ピンクペッパーの刺激、パチュリの深みまで確かめてみてください。涼しい時間帯にその組み合わせを心地よく感じられるかどうかが、オー キャピタルを選ぶときの確かな手掛かりになります。


