あらしのうみ
青りんごの爽やかさにピーチの甘さ、そこへジャスミンやローズが重なる。メゾン マティンのあらしのうみは、果実と花が明るくみずみずしく香るオードパルファムです。作品の背景にあるのは、日本への憧れを伝説の島アトランティスや黄金の国ジパングに重ねた物語。中村杏子の絵には、ゲーム機や釣り具といった懐かしいものも描かれています。春夏の日中の外出に、果実と花を楽しみたい一本です。
#484 · 2026-09-15
香水の基本情報と第一印象
メゾン マティンのあらしのうみは、2023年に登場したオードパルファム。青りんごとピーチの果実感にジャスミンやローズが重なり、木とムスクへ続く香りです。グリーンアップルの爽やかさとピーチの柔らかな甘さが、最初の印象を想像する手掛かりになります。果実だけで終わらず、花が豊かに香る時間と木の余韻まで楽しめる構成です。
日本への憧れを、現代のアトランティスや黄金の国ジパングに重ねた作品でもあります。まだ見ぬ島への憧れを、果実と花の明るさから思い浮かべると、名前と香りのつながりが見えてきます。日中の外出に明るい気分を添えたい人や、果実の爽やかさと花の甘さを一緒に楽しみたい人に気になる一本です。
性別を問わず楽しめる作品で、香調はフルーティー、フローラル、ウッディ。果実の種類がわかりやすいことに加え、後半には花と木の印象もあるため、普段選ぶ香水のどの部分が好きなのかを考えながら試す楽しみもあります。
調香師・ブランドの背景と制作秘話
調香を担当したベレニス・ワトーは、フランス北部に生まれ、パリで育ちました。芸術に親しむ家庭で過ごし、7歳の頃には調香師になることを考えていたといいます。化学を学んでから調香の学校へ進み、2014年に卒業。香水を扱う企業のプーチを経て、香料会社フィルメニッヒに加わりました。
メゾン マティンは彼女を、シュルレアリスムから刺激を受け、香りで形や光を作る人として紹介しています。夢のような不思議な組み合わせを描く芸術への関心と、香料を扱うための化学の学び。その両方を持つ作り手が、果実や花の香りを使って架空の景色を思い描いた作品としても、あらしのうみは興味深く感じられます。
ブランドは2019年に生まれ、調香師やグラフィックデザイナー、コミュニティが共同で香水を作る方針を持っています。あらしのうみでは、京都出身・在住のイラストレーター、中村杏子がボトルの絵を担当しました。ゲーム機や釣り具など、子供時代を思わせるモチーフが並び、近未来的でありながら懐かしい雰囲気があります。
この作品は、旅と空想をテーマにしたコレクションの一つ。日本を伝説の島アトランティスや、黄金の国として語られたジパングに重ねています。フランスから見た遠い島国への憧れに、日本の作り手による身近な遊びの記憶が加わる。その出会いが、香りとボトルを一緒に楽しむ理由になります。
香りの詳細分析
トップはグリーンアップル、フリージア、ピーチ。青りんごを思わせる甘酸っぱい果実感に、ピーチの柔らかな甘さを重ねた組み合わせです。フリージアも最初から加わるため、果実だけが先にあるのではなく、花の香りも一緒に始まります。爽やかさと甘さの両方が気になる人に、試しやすい入口です。
ミドルはジャスミン、ダマスクローズ、イランイラン。ジャスミンやローズの花らしさにイランイランの甘さが加わり、果実の印象から花々が豊かに香る時間へと続きます。青りんごやピーチだけを期待するより、花の香りまで好きかどうかを確かめると、この作品との相性を考えやすくなります。
ラストはバージニアシダー、フィルサントール、ムスクです。バージニアシダーは木の香りを担います。フィルサントールは、サンダルウッドを思わせる香りを作る素材。名前だけでは想像しにくいものの、木の柔らかな甘さを思い浮かべる手掛かりになります。果実や花の明るさのあとに、木とムスクが残る構成です。
時間がたった後の花や木をどう感じるかによって、最初とは好みが変わることもあります。爽やかな果実を探しているなら出だしに、花を中心に楽しみたいならミドルに、柔らかい木の香りが好きならラストに注目すると、試香の楽しみが広がります。
他の香水との比較・ポジショニング
同じメゾン マティンのプンプンは、果実と花、ムスクと木を組み合わせる点が共通します。プンプンでは、トップとミドルの両方にローズが置かれ、キウイも加わります。あらしのうみでは青りんごとピーチから、ジャスミン、ローズ、イランイランへ。果実の種類に加えて、どの花が印象に残るかを楽しみたい比較です。プンプンが気になった人には、同じブランドの果実と花の組み合わせを広げる一本になります。
メゾン マティンのトゥ トゥ カルムは、同じベレニス・ワトーが手がけた香水。ネロリ、レモン、カルダモンから、フィグリーフとプチグレインへ進み、シダー、ベチバー、ムスクが続きます。果実と花が中心のあらしのうみに対して、柑橘や葉、スパイスが気になる人に向く比較です。同じ調香師の作品でも、使う素材によって想像する景色は変わります。
ビーディーケー パルファムのブーケ ドゥ オングリーにも、果実、ローズ、ジャスミン、ムスク、シダーが使われます。こちらの果実は洋梨、カシス、ストロベリー。あらしのうみの青りんごとピーチに対し、洋梨やベリーを花と組み合わせています。花の香水を探すときも、一緒に香る果実の好みから比べると、それぞれを選ぶ理由が見つかります。
購入ガイド・価格・おすすめ度
あらしのうみには、50mLと15mLのオードパルファムがあります。国内50mLは16,500円。普段の外出で繰り返し使いたいなら50mL、小さなボトルから使い始めたい人や持ち歩きたい人なら15mLが検討しやすい容量です。最新の価格と取り扱い状況は、購入前に販売店で確認してください。
果実の爽やかさと花の甘さの両方を求める人、香りだけでなくボトルの絵も楽しみたい人には魅力があります。中村杏子の細かなモチーフを眺めていると、子供時代の遊びや道具を思い出すこともありそうです。使う日の気分と、部屋に置いて眺める楽しさを一緒に考えられる一本です。
日本では発売した2023年に、正規取扱店の顧客投票でニューカマー部門の大賞を受賞しました。新しく登場した香りの中で支持を集めた出来事です。気になる人は、果実の出だしと花や木の残り方を確かめ、自分が楽しみたい部分と合うか見てみてください。
実際の使用感・シーン・評判
合わせたいのは春夏の日中。緑の多い道を散歩したり、休日に街へ出かけたりする日に、果実と花の明るさを楽しむ提案です。軽いシャツや綿の服など、気負わず歩ける装いにも似合いそうです。
着用した人からは、甘さと爽快さを一緒に楽しめるという声があります。一方で、肌では持続が短く、拡散も控えめに感じたという声も。後半の木や甘さを強く感じた人もいるため、出だしの青りんごだけで判断せず、しばらくたった後の花と木の香りまで試す意味があります。
一日中強い香りを保ちたい人は、持続の長さも確かめてから検討したいところです。散歩や短い外出に果実と花を添えたい人なら、小容量から日常で楽しむ方法もあります。青りんごとピーチ、花々、木とムスクという香りの流れに、日本への憧れと懐かしい絵が重なるあらしのうみ。外へ出る日の気分を明るくしたいとき、思い出したくなる香水です。


