ア グローミング ナイトは、夕暮れから夜へと移る短い時間を、木とスパイスの温もりに置き換えたオードパルファム。アルベルト・モリヤスが手掛け、2021年にグッチのアルケミスト ガーデン コレクションへ加わった。地平線のピンク、紫、桃色、赤が、やがて暗さを増していくように、香りの異なる表情を、互いを包み込む組み合わせにしている。シナモンの温かなスパイスに、ベチバーとパチョリの乾いた深さが寄り添う。甘さを感じるスパイスを、木や土の落ち着いた輪郭と一緒に楽しみたい人に向く、静かなウッディ スパイシーの香りだ。
シナモンは、ほのかな甘さを含む、温かなスパイスの主題。ベチバーの、根や木を思わせる乾いた感触が、その柔らかな刺激を包み、落ち着いた奥行きを添えている。パチョリは、土と木を思わせる、深く乾いた表情を重ねる素材だ。夕日の色が互いに溶け合うように、スパイスと木、土の印象が、温もりの中で響き合う。シナモンの甘さだけを大きく広げるのではなく、ベチバーとパチョリの静かな陰影が、香りに深さをつくっている。夕暮れの最後の光と、近づく夜の暗さを、温かなスパイスと乾いた木の関係で描いた構成だ。
夕暮れの散歩のあとや、温かな照明の店で過ごす時間に試してみたい。深い赤のニットや、木目を感じる小物に、シナモンと木の温もりを添える選択肢になる。採用した100mLは、透明感のあるルビーレッドのガラスに、金色のキャップを重ねたボトル。正面には、鍵を握る手と、葉やリボンの細い金色の装飾を配している。古い薬局の棚に並ぶ香水瓶に着想を得た形を、夕日の赤で彩った意匠だ。光を感じる赤いガラスと、濃い底の陰影が、夕暮れから夜へ移る主題を、ボトルにも伝えている。


