フィユ ド テ

フィユ ド テは、カラブリア産レモンの明るさからセイロンブラックティーの渋みへ移り、サンダルウッドとベチバーの静かな木の余韻で終わる紅茶系フレグランスです。

#52 · 2025-07-10

Roger & Gallet / Feuille de Thé

香水の基本情報と第一印象

Roger & Gallet(ロジェ・ガレ)「Feuille de Thé(フィユ ド テ)」は、紅茶をテーマにしたウェルビーイング系のフレグランスです。日本では「オ パフュメ テ」という名前でも知られ、旧「テ ファンタジー」の記憶を受け継ぐ香りとして語られます。中心にあるのは、カラブリア産レモン、セイロンブラックティー、サンダルウッド、ベチバー。甘いミルクティーではなく、レモンを添えたブラックティーの透明感と、木の余韻を持つ香りです。

第一印象は、紅茶香水という言葉から想像するより軽やかです。スプレー直後はレモンの明るさが先に出て、そこにすぐ茶葉の乾いた渋みが重なります。砂糖やミルクの丸い甘さではなく、湯気の中に少しスモーキーな茶葉が見えるような立ち上がり。清潔感はありますが、単なるシトラスコロンで終わらないところに、この香りの面白さがあります。

香りの温度感は、熱い紅茶というより、少し冷め始めたレモンティーに近いです。明るさはあるのに、底に茶葉の影がある。軽いのに、すぐ消えるだけではなく、木の余韻が残る。このバランスが、フィユ ド テを単なる爽やか系ではなく、日常に置ける紅茶の香りにしています。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

調香師はAlberto Morillas(アルベルト・モリヤス)。シーケーワンやアクア ディ ジオのように、透明感がありながら多くの人に届く香りを作ってきた人物です。ロジェ・ガレのテ系フレグランスでは、紅茶を重くクラシックにするのではなく、日常に使いやすい軽さと、茶葉の静かな奥行きを両立させています。

ロジェ・ガレは、1862年創業のフランスの老舗です。オーデコロンの伝統、石けんやボディケアの文化、植物由来のイメージを背景に、香りを「特別な夜の装飾」だけでなく、毎日の気分を整えるものとして扱ってきました。フィユ ド テもその流れにあります。紅茶の香りでありながら、香水好きだけに向けた濃い作品ではなく、朝やオフィス、カフェ、読書の時間に自然に置けるような軽さを持っています。

旧テ ファンタジーについては、紅茶の深みやスモーキーさを愛したファンが多く、現在のフィユ ド テとの関係がよく語られます。現行品は、よりレモンの明るさと日常性が前に出ると感じる声もあります。ここでは、現行のフィユ ド テを主役にしつつ、テ ファンタジーが残した「紅茶香水の記憶」を背景として読みます。

この背景を知っておくと、現行品の軽さも欠点だけではなく見えてきます。濃い紅茶の物語を求める人には旧作の記憶が強く残りますが、朝の身支度や仕事前に使うなら、フィユ ド テの透明感はむしろ長所です。紅茶の香りを「特別な香水」ではなく「毎日のリズム」に近づけている、と捉えると理解しやすくなります。

香りの詳細分析

トップでは、カラブリア産レモンが立ち上がります。ここは鋭い洗剤のようなレモンではなく、紅茶にレモンを一片落としたときのような明るさです。最初の数分は、湿った茶葉よりもシトラスの透明感が先に来るため、軽く清潔で、朝にも使いやすい印象になります。

ミドルでは、セイロンブラックティーが香りの中心になります。

茶葉の渋み、軽いスモーキーさ、湯気の温度が出て、ただ爽やかなだけだったトップから一段落ち着きます。甘い紅茶菓子ではなく、ストレートティーに近い乾いた印象です。ここにスパイスの名残が重なることで、知的で少しだけ異国的な空気が生まれます。

ラストでは、サンダルウッドとベチバーが残ります。サンダルウッドはなめらかな木の肌触りを作り、ベチバーは乾いた根のような涼しい影を添えます。甘い樹脂で濃く沈むのではなく、紅茶の渋みが木の余韻へ移っていく。時間が経つほど、レモンティーの明るさよりも、静かに冷めていく茶葉と木の香りが肌に近くなります。

この三段階があるため、フィユ ド テは「紅茶の香り」とだけ言うより、「シトラスから始まり、紅茶の渋みを通って、乾いたウッドへ落ちる香り」と捉える方がわかりやすいです。トップの軽さがあるから日常に使いやすく、ミドルの茶葉があるから記憶に残り、ラストのウッドがあるから香水としての余韻が残ります。

特に大事なのは、甘さの扱いです。フィユ ド テには、グルマン的な砂糖の厚みやミルクの丸さはほとんどありません。その代わりに、レモンの透明感、紅茶の渋み、ウッドの乾きが前に出ます。だから「紅茶の香り=甘い」と考えていると物足りなく感じるかもしれませんが、ストレートティーの清潔な苦みが好きな人には、むしろその控えめさが使いやすさになります。

他の香水との比較・ポジショニング

比較されやすいのは、Bvlgari(ブルガリ)「Eau Parfumée au Thé Vert(オ パフメ オーテヴェール)」や、Elizabeth Arden(エリザベス アーデン)「Green Tea(グリーンティー)」のようなティー系フレグランスです。これらが緑茶の清涼感や軽さに寄るのに対して、フィユ ド テはブラックティーの渋みとスモーキーさが軸です。明るいけれど、緑茶ほど青くはありません。

SHIRO(シロ)の「White Tea(ホワイトティー)」のような清潔で使いやすいお茶系とも比べられますが、フィユ ド テはより茶葉らしい渋みとウッディな余韻があります。紅茶香水に甘さやミルク感を求める人には少しドライに感じられる一方、甘すぎない紅茶、オフィスでも使いやすい茶葉感を求める人には扱いやすい位置にあります。

このポジションはかなり実用的です。緑茶系ほど青くなく、白茶系ほど石けん寄りでもなく、チャイ系ほどスパイスや甘さに寄らない。フィユ ド テは、その中間で「紅茶らしさを感じるけれど、周囲に強く残りすぎない」方向を取っています。香水としての主張より、身の回りの空気を少し整える感覚に近い一本です。

購入ガイド・価格・おすすめ度

現行品は10ml、30ml、100mlなどのサイズで見かけることがあり、価格帯もニッチフレグランスに比べると手に取りやすい部類です。初めてなら、トップのレモンだけで判断せず、ミドルの紅茶、ラストのウッドまで肌で確認するのがおすすめです。紙で嗅ぐとシトラスが立ちやすく、肌では紅茶の渋みと木の余韻が見えやすくなります。

フルボトル向きなのは、清潔感のある香りが好きだけれど、石けん系や白いムスクだけでは物足りない人です。甘い香水が苦手な人、紅茶を感じたいけれど重すぎる香りは避けたい人にも向きます。逆に、濃厚なミルクティーや強いグルマンを期待すると、軽く感じる可能性があります。

実際の使用感・シーン・評判

使いやすいのは、春夏の朝、湿度のある日、オフィス、カフェ、読書、移動中のリフレッシュです。強く主張する香りではないため、近距離で清潔に香らせる使い方が向きます。香りの持続は重厚なオードパルファムほど長くはなく、必要なら付け直しを前提にした方が扱いやすいタイプです。

口コミでは、「紅茶らしく落ち着く」「上品で使いやすい」「男女問わず使える」という声がある一方で、「思ったより紅茶が薄い」「持続が短い」「旧テ ファンタジーの方が深かった」という声もあります。つまり、濃い紅茶を期待すると物足りないことがあります。けれど、レモンの明るさ、ブラックティーの渋み、ウッドの静かな余韻を日常の中で軽く使いたい人には、名前よりもずっと実用的な一本です。

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