コム デ ギャルソン 2

コム デ ギャルソン 2は、公式ノートのインクを花、樹脂、木と重ねた香水です。明るい出だしから落ち着いた後半へ移るという着用者の声があり、ブランドが掲げる「光と影」の対比を香りから考える手掛かりになります。

#515 · 2026-10-16

COMME des GARÇONS / CDG 2

香水の基本情報と第一印象

コム デ ギャルソン 2の公式ノートには、インクが挙げられています。それだけを聞くと、硬く冷たい香りを想像するかもしれません。ところが同じ一覧にはマグノリア、インセンス、アンバー、パチョリ、ベチバー、シダーウッドも並びます。花、樹脂、木とインクを一つの作品に収めたところに、この香水の入口があります。

ブランドが掲げるのは「反射と不透明」「鏡と輝き」「光と影」といった対比です。明るい素材をこちら側、暗い素材をあちら側と分ける説明ではありません。異なる印象が一つの香りの中で共存するという発想が、インクと花を並べたノートにも表れています。意外な素材の名前を手掛かりに、全体の変化を味わいたい一本です。

日本の書道に使う墨が着想になったとも広く紹介されています。インクは公式に記載されたノート名で、香りの印象を示す言葉です。甘さの強い香水より、乾いた冷たさとお香の落ち着きがある香りを日中に使いたい人に向いています。銀色で鏡のように反射するボトルも、この作品を見分ける特徴です。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

コム デ ギャルソンは川久保玲が創設したブランドです。川久保は当初、香水は作らないと話していました。夫でコム デ ギャルソン インターナショナルのCEOを務めるエイドリアン・ジョフィが、ブランドの世界観を表現する新たな手段になると説得し、1994年に最初の香水が生まれます。今は「オリジナル」と呼ばれるオードパルファムで、ボトルやパッケージ、プレスリリースまで川久保自身がデザインしました。その流れの中で出た2作目がコム デ ギャルソン 2です。

香水ラインでは、クリスチャン・アストゥグヴィエイユがクリエイティブ・ディレクターを務めました。彼は川久保と香りの中で対立する要素を試し、短いコンセプトを調香師へ伝える制作方法を語っています。

コム デ ギャルソン 2の調香師としては、マーク・バクストンの名が広く挙げられています。作品の背景を知るうえで中心になるのは、ブランドが示した対比の言葉と、インクを含むノートの組み合わせです。「地球と太陽のエネルギー」という表現も、同じ作品の説明に並びます。自然を思わせる言葉と、インクや鏡という人工的な印象が隣り合っています。

日本の墨を着想とする紹介も、この香水の個性を考える手掛かりです。ただし、墨を思わせる要素だけで香りが完結するわけではありません。アルデヒド、花、インセンス、木まで視野に入れると、ひとつの題材をさまざまな質感と結び付けた作品として捉えられます。インクという言葉への驚きが、香りの広がりを知る入口になります。

1990年代は、日本のデザイナーが香水に新しい考え方を持ち込んだ時期でもあります。三宅一生は1992年に最初の香水ロードゥ イッセイを発表し、当時主流だった重く甘い香水に対して、水を題材にした透明感のある香りを提案しました。コム デ ギャルソンはアストゥグヴィエイユと「アンチ・パフューム」という考え方を打ち出し、1998年には金属や岩など無機物の匂いを題材にした香水も出しています。花のような心地よい香りを作る代わりに、金属や岩のように、ふつうは香水にしない物の匂いを香りにしたところが当時の新しさでした。日本の墨を着想に、インクを香りに取り込んだコム デ ギャルソン 2も、その流れの中の一本です。

ボトルは銀色で、鏡のように周囲を映す姿として紹介されています。デザインには川久保玲とマーク・アトランの名も挙がります。ブランドが香りについて用いる「反射と不透明」「鏡と輝き」という言葉を知ると、その外観も作品を考える手掛かりになります。2005年の「Love Hurts」企画ではハート形のパッケージが作られ、後に再び登場したという話もあります。

香りの詳細分析

公式はノートを一つの一覧として示し、香る順番は定めていません。一方、香りをトップ、ミドル、ラストに分けた紹介では、冒頭にアルデヒド、アンジェリカ、茶、マンダリンオレンジ、マテが置かれます。実際につけた人にも、最初に金属的なアルデヒドと柑橘を感じたという声があります。出だしの明るさは、インクという言葉だけから想像する印象を少し変えてくれます。

アルデヒドは、すっきりした明るさの中に金属を思わせる硬さを感じさせます。そこへ茶とマテが加わると、甘い果実を前面に出すより、葉を思わせる落ち着きに目が向きます。マンダリンオレンジの柑橘も、この段階を軽く感じさせる要素です。香りの出方には個人差があるため、最初の一瞬だけで判断せず、肌の上で次の印象を待つと変化をつかみやすくなります。

中盤にはインク、マグノリア、ナツメグ、ベイ、コリアンダー、キャラウェイ、シナモンを置く紹介があります。中心にあるインクの乾いた印象に、マグノリアの花とスパイスが並ぶ構成です。花だけの柔らかさにも、インクだけの冷たさにも収まらないところが特徴でしょう。特定の花をはっきり分けにくいと感じた着用者もいて、いくつもの要素が重なる部分として捉えられます。

後半に挙げられるのは、インセンス、パチョリ、ベチバー、シダー、アンバー、ラブダナムです。木と樹脂が増えることで、冒頭の明るさから落ち着いた印象へ移ります。中盤以降に木やインセンス、土を思わせるベチバーを感じたという着用者の描写もあります。インクの存在感だけを追うより、花を経て木や樹脂へ向かう流れに注目すると、この作品の幅が見えてきます。

公式ノートにあるインク、インセンス、マグノリア、ベチバーは、互いを同じ方向へそろえる素材ではありません。すっきりした出だし、花とスパイスの重なり、木と樹脂の落ち着きが続くという紹介は、ブランドの掲げる対比を香りから考える助けになります。どれか一つのノートを「光」や「影」に当てはめず、肌で感じる移り変わりを確かめたい香水です。

他の香水との比較・ポジショニング

同じブランドのオドゥール 71にも、インクという言葉が登場します。共通する題材がある一方、二作の焦点は異なります。オドゥール 71は、万年筆のインクや温かい複写機のトナーなど、現代の日常にある匂いを題材にした作品です。コム デ ギャルソン 2では、インクが花、樹脂、木と並び、「光と影」の対比につながります。人工的な匂いそのものに関心が向くなら前者、インクと花や木の組み合わせを楽しみたいなら後者が候補になります。

バイレードのミックスト エモーションズとは、マテという茶葉を思わせる要素が接点です。ミックスト エモーションズはカシス、セイロンブラックティー、バイオレットリーフを軸にしています。コム デ ギャルソン 2では、マテの周囲にインク、インセンス、アルデヒドが並びます。茶の印象を入口にしても、果実と茶の組み合わせへ進むか、インクと樹脂を含む対比へ進むかで選び方が変わります。

ル ラボのテ ノワール 29とは、ベチバーとシダーウッドが共通します。テ ノワール 29はブラックティーにイチジクとベルガモットを合わせ、乾いた葉やタバコを思わせる余韻を持つ作品です。コム デ ギャルソン 2には、そこから離れたインク、マグノリア、アルデヒド、マテもあります。木と茶葉の要素が気になる人でも、花とインクまで含む変化を求めるか、果実を伴う紅茶の方向を好むかで印象は分かれるでしょう。

三作と並べると、コム デ ギャルソン 2を選ぶ理由がはっきりします。インクは目を引くノートですが、それだけを再現しようとする香りではありません。花、茶、スパイス、樹脂、木が同じ作品にあり、明るさと暗さの間を行き来するような構成です。まずはインクという名前への興味から入り、その後にどの素材が自分の肌で残るかを確かめると、好みを判断しやすくなります。

購入ガイド・価格・おすすめ度

公式に掲載されているのは、オードトワレの100mLと、オードパルファムの50mL・100mLです。100mLには二つの濃度があるため、容量だけで選ばず、購入する商品の表示を確認したいところです。両濃度の香りの違いや発売順は明らかではありません。濃度名から香り方を決めつけず、試せるならそれぞれを肌につけて比べるのが確実です。

試香では、最初のアルデヒドや柑橘だけで結論を出さないことが大切です。中盤のインクとマグノリア、後半のインセンスと木まで確かめると、自分が惹かれる部分が分かります。インクの冷たさやアルデヒドの強さを気にする声もあるため、そうした質感が好みに合うかも判断材料になります。花や木と組み合わさる変化に魅力を感じるなら、試す価値のある一本です。

価格や販売状況は地域、店舗、容量によって変わります。購入前には公式サイトで最新の掲載内容を確認してください。持ち運びやすい容量を優先するなら、掲載されている中では50mLのオードパルファムが選択肢です。ボトルの外観だけで選ぶより、濃度と容量を確かめ、肌で香りが落ち着くまで待つと納得して選びやすくなります。

実際の使用感・シーン・評判

利用者の声では、春と秋、そして夜より日中に支持が集まります。まず試したいのは、春か秋の日中です。休日の外出や、香りを楽しめる職場を思い浮かべると使う場面を選びやすいでしょう。春なら軽いジャケット、秋ならニットといった、その日の外出に着る服にもなじませやすい香りです。

インクとアルデヒドの組み合わせや、時間とともに印象が変わるところを好む声があります。一方で、インクを冷たく乾いていると感じる人や、アルデヒドの強さが気になる人もいます。この違いは、インクという言葉だけで好みを決めにくいことを示しています。肌につけてしばらく過ごし、花や木が現れたあとの印象まで確かめると、自分に合うか判断しやすくなります。

香りの広がりは中程度という声が中心です。近い距離で人と過ごす日は、つける量を調整しながら楽しむとよいでしょう。暑い日中に使うなら、インクの冷たさやアルデヒドの強さがどう感じられるか、先に試しておきたいところです。持続の感じ方には肌や濃度による違いもあります。

コム デ ギャルソン 2は、インクという意外な入口の先に、花、樹脂、木の変化が待つ香水です。春や秋の日中に、最初の明るさから落ち着いた後半まで肌で追ってみる。そこでインクがほかのノートとどう重なるかが、この一本を選ぶいちばんの判断材料になります。

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