ア ローズ イズ ア ローズ

豊かなバラに、柑橘の明るさとアイリスの柔らかさを重ねた香水です。『ポートレイト オブ ア レディー』を手がけたロピオンが自分の名で始めたブランドの1本で、彫刻を思わせるボトルも特徴です。賦香率は非公表、容量は50ml、公式価格は290ユーロです。

#482 · 2026-09-13

Aphorismes by Dominique Ropion / A Rose is a Rose

香水の基本情報と第一印象

アフォリズムのア ローズ イズ ア ローズは、ふくよかなバラを中心に、柑橘の明るさと柔らかな甘さを重ねた香水です。2024年に登場。あのポートレイト オブ ア レディーを手がけたドミニク・ロピオンが、自分の名で始めたブランドの1本で、調香も本人が担当しています。男女共用のパルファン アンタンスです。

オレンジやグレープフルーツの皮を思わせる明るさがあり、その先にはアイリスの粉のような柔らかさと、クリームのような丸み。バラの存在感をしっかり楽しみながら、なめらかな質感にも目を向けたくなります。

軽く広がる花の香りだけでは物足りない日にも、木の重さばかりが目立つ香りとは違う選択肢になります。バラの華やかさと、粉やクリームのような柔らかさを一緒に楽しみたい人に向く香りです。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

ドミニク・ロピオンは、物理を学んでいた学生時代、夏休みの香料研究所での仕事をきっかけに調香へ進みました。香りに惹かれ、研修と調香学校へ。2000年には香料会社のアイエフエフに入り、2018年に同社からマスターパフューマーの称号を受けています。

新しい香料の評価や、次の世代の育成にも関わってきたロピオン。香りを作る仕事は、自分の作品を仕上げることだけではありません。新しい材料に触れ、その可能性をほかの作り手へつないでいく仕事も重ねています。

アフォリズムは2024年に6作品で始まった本人名義のコレクションです。親しんできた香りの系統を、今の感覚で作り直すという考え方があります。香水事業に携わるハビブ・アル=ソワイディとは、調香師ジャン=ルイ・シュザックを通じて出会いました。協働を重ねた先に、自分の名前を冠する作品群が生まれています。

ロピオンが語るのは、直感だけでは終わらない仕事です。自由な制作であっても、処方を何度も練り直し、ちょうどよいバランスを探す。仕上がった香りは自分やハビブの身近な人たち、アイエフエフの関係者にも試してもらいました。

素材の使い方にも、その自由さが見えます。バラの名を持つア ローズ イズ ア ローズには、ウードのエッセンスを豊富に使用。一方、同じコレクションのウード ア ラムールはウード原料を使わずに作ったと本人は語っています。香水名が、そのまま材料表になるわけではないのです。

透明な角形の外形と、中央に穴の開いた金属色の円形キャップ。このボトルもロピオンが選びました。アートディレクターのサビーヌ・ミュレが、セルジュ・マンソーの仕事に着想した複数の案を提示し、本人は台座に切れ目のある円が載る姿を気に入ります。香りだけでなく、四角と円を組み合わせたボトルにも、ロピオンの好みが出ています。

香りの詳細分析

トップにはビターオレンジ、グレープフルーツ、クミン、サフラン、ピンクペッパー、ブルーカモミール。オレンジやグレープフルーツは、甘いジュースよりも皮をむいた瞬間の香りを思い浮かべるとつかみやすいでしょう。明るさに少しほろ苦さがあり、スパイスの温かさも重なります。

ミドルの中心はバラです。ブルガリア、イスパルタ、トルコのローズ原料が使われ、ゼラニウム、アイリス、フローラルラクトンが加わります。着想となったのはターイフという土地の豊かなバラ。異なるローズ原料を重ねることで、ひとつのバラの印象を作っているところも興味深い点です。

アイリスは、ここでは粉のような柔らかさが手掛かりになります。フローラルラクトンは、花に乳白色を思わせるなめらかさを添える香り。バラの華やかさと一緒に、クリームのような丸みを想像すると、その厚みを捉えやすくなります。

ベースはシナモン、クローブ、ウード、パチョリ、オリバナム、アンバーグリス、バニラ、ムスク。ウードやパチョリの木の深さ、オリバナムなど樹脂の落ち着きに、スパイスとバニラの甘い温かさが加わります。

バラに厚みがあるからこそ、柑橘の明るさやアイリスの柔らかさも感じてみたくなります。花の量感を楽しむか、なめらかな甘さに惹かれるか。ひとつひとつの素材を当てるより、バラと一緒に感じる質感へ目を向けると、香りを楽しみやすいでしょう。

他の香水との比較・ポジショニング

フレデリック マルのポートレイト オブ ア レディーも、ドミニク・ロピオンが手がけた香水です。豊かなバラとパチョリという共通点があり、バラに何を重ねたいかを考えるときの比較になります。

ポートレイト オブ ア レディーでは、バラとパチョリ、インセンスの組み合わせが手掛かりです。ア ローズ イズ ア ローズでは、柑橘の明るさと、アイリスやラクトンの柔らかさ、ウードを伴う厚みに注目したいところ。バラとお香の落ち着きを楽しみたいのか、バラのなめらかな質感に惹かれるのかで、関心を向ける場所が変わります。

ゲランのローズ バルバルは、バラとパチョリにハチミツの甘さが重なる香りです。豊かなバラという共通点がありながら、蜜の甘さと、アイリスやラクトンがもたらす柔らかさでは印象が違います。

どちらかを優れた一本と決める必要はありません。同じバラでも、お香、蜜、粉のような柔らかさのうち、何を一緒に楽しみたいか。好きな質感をひとつ思い浮かべると、試香のときに確かめることがはっきりします。

購入ガイド・価格・おすすめ度

ア ローズ イズ ア ローズは、パルファン アンタンスの50mlです。一般的なパルファンやエクストレと数値で比較できる賦香率は公表されていません。公式価格は290ユーロ。価格や配送条件は変わることがあるため、購入時は公式サイトの最新情報をご確認ください。

試すなら、最初の柑橘だけで判断せず、肌に少量をつけて時間をおくのがおすすめです。バラの量感は心地よいか、アイリスの柔らかさをどう感じるか。その後の木や甘さまで好みに合えば、使いたい場面も具体的になってきます。バラに添えられたスパイスを温かく感じるか、木の落ち着きに惹かれるかも、つけ始めだけでは決めにくい部分。すぐに付け足さず、ひとつの香りをゆっくり確かめる時間を取りたいところです。

バラの香りをしっかり楽しみ、なめらかな厚みも欲しい人には気になる一本でしょう。反対に、軽い花の香りだけを求めるなら、木やスパイスまで重なる豊かさを、肌で確かめてから判断したい香水です。

実際の使用感・シーン・評判

着用した人からは、明るいバラと柔らかな厚みを両方楽しめるという声があります。時間をおくと粉のような柔らかい感触が出るという感想もあり、なめらかさを好む人には興味を引かれるところです。一方、後半の土っぽさや、大きな変化が少ないことに触れる声もあります。

合わせるなら、涼しい時期の夕方の外出へ。秋や冬、シャツにジャケットを羽織って出かける日に、バラのふくよかさと木の落ち着きが似合いそうです。春も肌寒い日が候補になります。真夏の蒸し暑い日は香りの厚みが重く感じられそうなので、使用を控えるのがよさそうです。

人と近くで過ごす場所では少量から始め、すぐに足さずに香りの広がりを見るとよさそうです。華やかさを強く見せるためというより、自分のそばでバラの柔らかな厚みを楽しむ。そんな夕方に、手が伸びる一本です。

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