ルッキングフォー バニラ

パルル モア ドゥ パルファム「ルッキング フォー バニラ / 43」は、明るいサニーグルマンとして仕立てられたバニラの香りです。濃厚な菓子よりも、アルメラック家らしい軽さと肌なじみのよい甘さが中心です。

#369 · 2026-05-23

Parle Moi de Parfum / Looking for Vanilla

香水の基本情報と第一印象

Looking for Vanilla / 43(ルッキングフォー バニラ)は、Parle Moi de Parfum(パルル モア ドゥ パルファム)から2025年に登場したオードパルファムです。ブランドが掲げる香調はSunny Gourmand。名前の通りバニラを探す香りですが、いわゆる焼き菓子系の濃厚なグルマンとは少し違います。

第一印象で立ち上がるのは、バニラの重さよりも白い花と光です。インド産ジャスミン・サンバックとサニーアコードが、甘さの前に明るさを置く。そこにトンカ、ビターアーモンド、チェリーが丸みを加え、最後にバニラアブソリュートとパチョリが温かくドライな余韻を作ります。甘いのに、輪郭は意外と黒いボトルのように直線的です。ここが記憶に残ります。

この香水の面白さは、名前が「見つけたバニラ」ではなく「探しているバニラ」であること。完成形を宣言するのではなく、バニラの中にまだ別の表情があると示すような一本です。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

Parle Moi de Parfumは、調香師Michel Almairac(ミシェル・アルメラック)とその家族の名前が強く出るメゾンです。ミシェルはDior Fahrenheit、Gucci Rush、Chloe Eau de Parfumなどを手がけた調香師として知られ、素材の骨格を短いフォーミュラで見せる作風が語られます。

Looking for Vanilla / 43では、ミシェルに加えてRomain Almairac、Benjamin Almairacも関わった家族の作品として紹介されています。中心にあるエピソードはとても小さく、でも記憶に残ります。ミシェルがラボの机に試作品を置き、ベンジャミンがそれを嗅いで強く惹かれた。そこからこのバニラが作品化へ進んだ、という物語です。

ブランド名のParle Moi de Parfumは「香水について語って」という意味を持ちます。香水をただ商品として並べるのではなく、香りをめぐる会話を生む。Looking for Vanilla / 43の素直な名前と、机の上のサンプルから始まる制作秘話は、そのブランドらしさをよく表しています。

香りの詳細分析

トップは、インド産ジャスミン・サンバックとサニーアコード。オレンジを思わせる明るいニュアンスがあり、バニラ香水なのに最初から重く沈みません。白い花の清潔なふくらみと、柑橘の光のような立ち上がりが、甘さに空気を入れます。

ミドルでは、トンカビーン、ビターアーモンド、チェリーが出てきます。ここでようやくグルマンらしい丸みが増しますが、方向は生クリームや砂糖菓子だけではありません。トンカのパウダリーな甘さ、アーモンドのほろ苦さ、チェリーの赤い影が重なり、マジパンやバタースコッチを思わせる質感に近づきます。チェリーは濃いリキュールの主役というより、バニラに奥行きを出す影です。

ベースは、バニラアブソリュートとパチョリフラクション。バニラは温かくミルキーで、少しバルサミック。そこへパチョリが入ることで、甘さがべたつかず、ウッディでドライな余韻に整います。持続は長めに感じる人が多く、量によって印象が変わりやすい香りです。最初は少量から試すほうが、この白いバニラの軽さを掴みやすいでしょう。時間が経つほど、花の明るさよりもトンカの粉感とパチョリの影が近くに残ります。

他の香水との比較・ポジショニング

バニラ香水の中で見ると、Looking for Vanilla / 43は重厚系と砂糖系のちょうど間に立つような存在です。Tom FordのTobacco Vanilleは、タバコ、スパイス、ドライフルーツが重なる夜のバニラ。Looking for Vanillaは、そこまで暗く沈まず、ジャスミンとサニーアコードで白く始まります。

GuerlainのSpiritueuse Double Vanilleと比べると、こちらはラムや樽熟成を思わせる琥珀色の深みではなく、花と光のあるバニラです。Maison MargielaのBy the Fireplaceが煙と栗、暖炉の温度を持つなら、Looking for Vanillaは煙よりも白い花とパチョリの陰影が残ります。

同じParle Moi de ParfumのFlavia Vanilla / 82が暗く砂糖感のあるバニラとして語られるのに対し、Looking for Vanilla / 43は明るく立体的です。バニラを甘さだけでなく、花、果実、木の影で見せるところに個性があります。

購入ガイド・価格・おすすめ度

展開はオードパルファムの50mlと100ml。日本での価格は50mlが15,400円、100mlが25,300円です。EDTやExtraitなどの濃度違いは出ていないため、選択肢はサイズの違いが中心になります。

初めてなら50mlが試しやすく、秋冬の主役としてしっかり使いたい人は100mlも現実的です。バニラが好きで、でも甘すぎる香りや焼き菓子に寄りすぎる香りは避けたい人に特に向きます。逆に、砂糖、クリーム、濃厚なデザート感を求める人には、少しドライで花寄りに感じるかもしれません。

実際の使用感・シーン・評判

季節は秋冬が最も合います。肌寒い夜、ニットやコート、静かなカフェ、ホテルラウンジ、寝香水のような場面では、バニラとトンカの温かさがきれいに残ります。初夏に使うなら、夜や冷房の効いた室内でワンプッシュ程度がよさそうです。

オフィスや電車では量に注意したい香りです。持続が長めで、アーモンドやパチョリの存在感もあるため、首筋に多くつけるより、手首や服の内側に少量置くほうが扱いやすいでしょう。近距離でふと甘さが届くくらいが、この香りの白さを活かします。黒や白のニット、ウールのコート、硬質なシャツのように、少しミニマルな服装に合わせると、甘さよりもドライな余韻が前に出ます。

評判は、好きな人には「クリーンでピュアなバニラ」「寒い季節に合う」「マジパンのよう」と受け止められています。一方で、パチョリのメンズコロン感や、甘さの強さを感じる声もあります。誰にでも薄くなじむバニラではなく、明るさと陰影の両方を持つ、少し判断を促すバニラです。最後に残るのは、砂糖菓子の余韻ではなく、ジャスミンとバニラに差す白い光です。

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