フー サクレの火は、暖をとるためだけのものではない。真夜中の茂みの奥、深い闇のなかで燃える大きな焚き火が、守り手のように荒野を押しとどめている。舞い上がる火の粉と、夜空へ絡みながら昇る煙が、この香りの出発点だ。
マダガスカル産クローブと南アフリカ産ピンクペッパーが、はぜる熾火のような刺激で幕を開ける。続いてマダガスカル産バニラが安らぎを、エチオピア産ミルラが温かな木質の陰影を加え、甘さと樹脂の熱が近い距離で溶け合う。
奥行きを担うのは、ソマリア産オポポナックス。甘く土っぽい温かさにかすかなスパイスを含むバルサム調の樹脂で、きのこを思わせる深みと、やわらかな甘草のニュアンスを持つ。クリーミーなサンダルウッドがその複雑さを受け止め、火を囲む夜の濃密な空気へと落ち着かせる。





