上海で暮らしていたころ、フィリップ・パパレラがよく「逃げ込んだ」のが杭州の西湖だった。湖の自然は人を安心させ、静め、創作へと促す。それでいて湖畔の一方からは、都市生活の熱がはっきりと伝わってくる。アイシーフィズは、静けさと熱がひとつの景色に収まるこの場所から生まれた。
構造は精密で、几帳面と言えるほど整えられ、正統なフゼアの系譜にまっすぐ立つ。開けた瞬間はベルガモット、ネロリ、ラバンジンの澄んだ涼しさが広がり、人目を引く胡椒の気配がそこに温度を足す。
骨格を支えるのは、ラバンジンのハーブらしい張り、龍井茶のアコードの繊細な茶葉の気配、モスの湿った陰影。弾けるようなフゼアに龍井茶のほのかな香りを重ね、時代に左右されない新しい清涼感を目指した一本である。


