ファウノの名は、ポンペイのファウヌスの家に由来します。かつてその家で半人半獣の青銅像が踊っていたという記憶を、ブランドは自然の奔放さや不思議な生き物、本能の力へと重ねています。香りは、現実を離れて夢のような領域へ踏み込む誘いとして描かれます。
立ち上がりは、グレープフルーツやりんごの明るい果汁感に、ヨモギのほろ苦い青さ、乾いたタバコの葉の煙っぽさが重なります。アーモンドの柔らかな丸みが、柑橘の鋭さを和らげます。
中盤では、クラリセージの琥珀を思わせる甘さが、クリーミーなチュベローズと交わります。プチグレンとジュニパーベリーが葉の青さと軽い針葉樹のニュアンスを添え、白い花の濃厚さを引き締めます。
終盤は、オリバナムの乾いた煙とスエードのなめらかな肌ざわりが中心になります。アンバーやトルーバルサムの樹脂の甘さが薄く残り、シダーウッドが静かな木の骨格を与えます。白い花と煙、甘さと苦みが重なる、木と樹脂の余韻です。















