リス 41
「リス」はフランス語で百合。ジャスミン、チュベローズ、リリーが同時に咲き、ウッド、バニラ、ムスクの温かさが三つの花を支えます。
#470 · 2026-09-01
香水の基本情報と第一印象
ル ラボのリス 41は、2013年に登場したクラシックコレクションのオード パルファムです。「リス」はフランス語で百合を意味します。ただし香りは百合だけを描くのではなく、ジャスミン、チュベローズ アブソリュート、リリーが同じ高さに並ぶ、大きなホワイトフローラルです。
第一印象は、花弁が大きく開くような華やかさ。気高く、暖かく、太陽のような明るさがあります。それでも軽い花の水のようには終わりません。ウッドが乾いた輪郭を作り、バニラが角を丸め、ムスクが肌に近い温度を残します。明るい花とクリーミーな温かさが一緒にあることが、リス 41の輪郭です。
色で表すなら、白から淡い黄緑へ。温度はひんやりした花弁から体温へ近づきます。重さ自体は大きいまま、時間とともに角が滑らかに感じられる香りです。
調香師・ブランドの背景と制作秘話
調香師はダフネ・ブジェです。幼いころから調香師を志し、香水学校イスィプカで学び、フィルメニッヒでキャリアを重ねました。現在はプリンシパル パフューマーとして紹介されています。リス 41では、ジャスミンの明るさ、チュベローズの量感、リリーの清潔さを、一枚の大きな印象へまとめました。
ル ラボは2006年、ファブリス・ペノとエドゥアール・ロスキによってニューヨークで創業されました。注文時の調合とラベルへの記入を通じ、香水を名前のない完成品ではなく、選んだ人の一本として渡すブランドです。透明な円筒形ボトル、白いタイポグラフィ中心のラベル、銀色のスプレー部にも、そのラボらしい無機質さが現れます。リス 41では、その中から黄緑がかった液色が見えます。
この香りには、長い開発の物語もあります。ル ラボは3年以上、太陽を浴びた白い花を題材に香りを開発していました。発売にあたり、方向の異なる二作から一つを選びきれず、リス 41とイラン 49を同時期に発売し、双子のように紹介しました。リス 41はダフネ・ブジェ、イラン 49はフランク・フォルクルが調香しました。リス 41は明るく温かな香りで、イラン 49は暗くシプレ的な香りです。異なる二人が、同じ白い花を対照的に表現したところに、この二作の面白さがあります。
香りの詳細分析
リス 41の公式構造は、時間順のトップ、ミドル、ベースではなく、三つのキーノートを同じ高さに示す型です。そのため、最初はジャスミン、次はチュベローズというように、三段のピラミッドへ分けて読みません。三種は互いの質感を押し広げながら、一度に大きく立ち上がります。
ジャスミンは、甘さと清潔な明るさの担い手。肌によっては、わずかに動物的な厚みとして現れることもあります。単独で突き出すというより、チュベローズとリリーをつなぎ、全体をひとつの印象へ整えます。
チュベローズ アブソリュートは、花の量感とクリーミーな厚みを作る要です。バターのように滑らかと感じる人がいる一方、グリーンな花や石けんを思う人も。油分を含んだような滑らかさと、茎に近い青さのどちらが出るかは肌で分かれます。
リリーは、作品名が掲げる百合です。白い花弁の清潔さに、茎を思わせる緑を感じる人がいます。リリーが一番強い人もいれば、チュベローズやジャスミンの奥に感じる人もいます。主役を一つに決めず、三つが同時につくる量感として受け取ると分かりやすくなります。
ウッド、バニラ、ムスクは、新しい時間ピラミッドではありません。ウッドは乾いた輪郭を作り、バニラは食べ物の甘さに偏らずに角を丸め、ムスクは余韻を肌へ近づけます。時間とともに三つの花が消えるのではなく、輪郭が滑らかになり、温かい下地が見えやすくなる構成です。
他の香水との比較・ポジショニング
フレデリック マルのカーナル フラワーとは、チュベローズの量感とはっきりした存在感が共通します。カーナル フラワーをよりグリーンで写実的、リス 41をより滑らかでバニラとムスクの温度があると感じる人がいます。花茎や葉まで感じる鋭さか、肌に近い温かい余韻かが、選び分けの軸です。
トム フォードのソレイユ ブランとは、日差し、クリーム、南国やサンスクリーンを思わせる感覚で比べられます。リス 41の中心はココナッツではなく、ジャスミン、チュベローズ、リリーです。リゾートの情景を強く求めるか、花そのものの量感を求めるかで選び分けます。
ディプティックのド ソンは、チュベローズを中心に探すときに一緒に試したい作品です。リス 41はリリーとジャスミンも同時に押し出し、ウッド、バニラ、ムスクの温かい余韻へつなげます。チュベローズを主役に据えるか、三種の花を一度に大きく咲かせたいかが違いです。
三本と並べると、リス 41の位置が見えてきます。花の写実性だけでなく、複数の花がつくる量感と、肌に残る温かさを同時に求める人の候補です。
購入ガイド・価格・おすすめ度
リス 41の香りは、オード パルファム一種類です。1.5ミリリットル、15ミリリットル、50ミリリットル、100ミリリットルは、濃度や処方の違いではなく、同じ香りの容量違いです。10ミリリットル3本のトラベルチューブ、リキッドバーム、ボディローション、シャワージェルもあります。形態が違うため、オード パルファムと同じ広がりや持続とは限りません。
2026年8月31日時点の日本価格は、1.5ミリリットルが990円、15ミリリットルが14,300円、50ミリリットルが32,230円、100ミリリットルが47,190円です。価格、在庫、取り扱い容量は変わることがあるため、購入前に公式サイトの最新表示を確かめてください。
初めてなら1.5ミリリットルか店頭試香から始めると、選びやすくなります。最初の華やかさだけで決めず、30分ほど後のクリーミーさと、その後のウッドやムスクまで肌で待ちます。三つの花のうちどれが前に出るか、甘さや石けんのニュアンスをどこまで強く感じるかに個人差があるからです。
向いているのは、ジャスミン、チュベローズ、リリーの量感と、バニラやムスクの温かい余韻を一本で楽しみたい人。反対に、軽いフローラルを求める人や、濃密な甘さに敏感な人は、肌での試香が大切です。
実際の使用感・シーン・評判
春や初夏、夏の夕方に、花の明るさを楽しむ声があります。風のある外出、夕方の食事前、花の華やかさが似合う祝いの場が候補です。秋口や冷房の効いた室内では、バニラ、ムスク、ウッドの温かさがなじみます。公式に季節の指定はないため、これらは気温と肌で選ぶ目安です。
日常なら、白いシャツや薄手のジャケットなど、装飾を重ねすぎない服装へ香りを一つの焦点として置けます。一方、蒸し暑い真夏の狭い室内では、チュベローズと甘さが強く出ることもあります。職場、食事、交通機関など相手との距離が近い場所では、肌に一吹きから始めてください。
持続と広がりは、全体として比較的強いと感じる傾向があります。一日残った人、ほどよく続いた人、約4時間だった人がいるように、持続には幅があります。最初は少量で、その日の気温と肌でどこまで広がるかを見ます。
好意的な感想には、クリーミー、緻密、滑らか、温かく太陽のようという言葉が見られます。一方で、石けん、日焼け止め、洗剤、ゴムのように感じた人もいます。名前どおりにリリーが主役と感じるか、チュベローズやジャスミンが前に出るかも肌で分かれます。大きな花の量感と温かい余韻の両方を心地よいと感じられるか。それがリス 41を選ぶ決め手です。


