スカーレット ビートルート コロン

ジョー マローン ロンドン「スカーレット ビートルート コロン」は、ブラックカラントの赤い果汁感から、切りたてのビーツの土と甘み、パチョリのウッディ感へ進む限定コロンです。野菜を奇抜さだけで終わらせず、日常に着られる赤い菜園の香りとして整えています。

#401 · 2026-06-24

Jo Malone London / Scarlet Beetroot Cologne

香水の基本情報と第一印象

Scarlet Beetroot Cologne(スカーレット ビートルート コロン)は、Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)のVeggies Collection(ベジー コレクション)から登場した数量・期間限定のコロンです。日本では2026年6月17日に阪急うめだ本店で先行発売、6月24日に全国発売予定。30mLで税込12,430円。限定品として、まず押さえておきたい数字です。香りの珍しさだけでなく、買える時期が限られることも、この一本の判断材料になります。

第一印象は、名前ほど土っぽくありません。最初に立つのはブラックカラントの赤い果汁感。甘酸っぱく、少し青みがあり、香りの輪郭を明るくします。そこからビーツの根菜らしい湿った土と自然な甘みが見えてくる。意外性はある。でも、突飛ではない。

この香水の面白さは、野菜をそのまま再現するのではなく、香水として着られる赤い菜園へ整えているところです。カシス、切りたてのビーツ、パチョリ。赤紫の果汁と土の気配が、軽いコロンの中で近距離に残ります。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

ベジー コレクションは、ジョー マローンが英国の家庭菜園やアロットメントの風景を香りへ移した企画です。小さな庭やプランターでハーブや野菜を育て、日々の手入れから収穫の喜びを得る。派手な花束ではなく、土の中から現れる野菜の美しさ。そこに目を向けたコレクションです。

企画の中心にはCéline Roux(セリーヌ・ルー)がいて、コレクションにはMathilde Bijaoui(マチルド・ビジャウイ)とAnne Flipo(アン・フリッポ)が関わったとされています。スカーレット単体の個別調香師名は公式商品ページでは前面に出ていません。ここは断定しすぎない方がよい部分です。

今回の限定企画では、Tiny Chef(タイニー シェフ)とのスペシャルコンテンツも公開されました。ビーツ、バターナッツ、キャロットという香水では少し身構える素材を、ユーモラスな料理の世界に置き換える。英国らしいウィット。香りの入口を柔らかくする、よくできた演出です。

香りの詳細分析

トップでは、ブラックカラントがはっきり出ます。熟した黒すぐりの果汁、甘酸っぱさ、わずかな青み。赤いシロップのようでいて、べたっと重くはありません。ビーツという言葉から予想する土の印象を、まず果実で明るく開く設計です。

ミドルでは、ビーツのアコードが主役になります。公式が語るのは、切りたてのビーツの自然さとアーシーな質感。ここで香りは、ベリーだけの甘さから少し離れます。湿った土、根菜の水分、自然な甘み。青臭い野菜というより、土から引き抜いた深紅の根のイメージです。

ラストでは、パチョリが全体を静かに受け止めます。強いお香のような重さではなく、ウッディで落ち着いた土台。ブラックカラントの赤さとビーツの湿度が少し遠のき、肌の近くにアーシーな余韻が残ります。最後は赤い果実ではなく、赤い菜園の記憶。

時間変化は、トップだけで決めない方がよいタイプです。最初の数分はカシス寄り。少し待つと、ビーツの土と甘さが見える。さらに待つと、パチョリが輪郭を丸くします。カシス、ビーツ、パチョリの三段階。その流れを楽しめるかが、この香水との相性です。

他の香水との比較・ポジショニング

同じジョー マローンで比べるなら、Blackberry & Bay(ブラックベリー & ベイ)がわかりやすい相手です。第87回で扱ったブラックベリー & ベイは、ベリーとベイリーフの青い茂み感が主役でした。スカーレットは、そこへビーツの土とパチョリの影が入る。より赤紫で、少し根に近い香りです。

ビーツ系の香水としては、Diptyque(ディプティック)のKyoto(キョウト)や、L'Artisan Parfumeur(ラルチザン パフューム)のMusc Amarante(ミュスク アマラント)とも並べられます。キョウトはローズやインセンスを伴う静かなアート寄り。ミュスク アマラントは、もっと土やムスクへ沈む印象があります。

スカーレットの立ち位置は、その中間よりもかなり明るい側です。ビーツという珍しい題材を扱いながら、入口はブラックカラント。ニッチ香水のような難解さではなく、ジョー マローンらしい軽さで着地させています。変化球だけれど、日常へ持ち込める。そこが強みです。

購入ガイド・価格・おすすめ度

購入判断で大事なのは、限定性です。スカーレット ビートルート コロンは、30mL税込12,430円の数量・期間限定品。日本では2026年6月24日全国発売予定で、気になる場合は公式オンラインや取扱店舗の在庫を早めに確認したいところです。限定は、待つほど選択肢が減る。

同じベジー コレクションには、ベルベッティ バターナット コロンとキャロット ブロッサム コロンもあります。前者はまろやかなバターナッツとパチョリのウッディグルマン、後者はフェンネルとキャロット ブロッサムの軽いフローラル。三作を比べると、スカーレットは最も赤く、果実と土のコントラストが見えやすい一本です。

ホームフレグランス側には、トマト リーフ ハンド ウォッシュやグリーン トマト バインのキャンドル、ディフューザーも並びます。コロン三作だけでなく、菜園の香りを手元や部屋へ広げる限定企画として見ると、スカーレットの赤い果汁感もより立体的に見えます。限定らしさは、香水単体よりもこの広がりで伝わります。

おすすめしやすいのは、ベリー系が好きだけれど甘いだけでは物足りない人。グリーンや土のニュアンスに抵抗がなく、限定コレクションの世界観も楽しみたい人です。逆に、リアルなビーツそのものや、濃厚で長く残るグルマンを期待すると少し違うかもしれません。まず肌で、ビーツとパチョリの出方を見るのが安全です。

実際の使用感・シーン・評判

季節は、春から初夏、夏、初秋が中心です。ブラックカラントの明るさは暖かい昼に合い、ビーツとパチョリの土感は秋口にもなじみます。白シャツ、リネン、薄いニット、黒やネイビーのシンプルな服。香りで少しだけ変化球を入れると扱いやすい。

シーンは、休日の外出、カジュアルなオフィス、ギャラリー、友人とのランチ。強く場を支配するタイプではなく、近づいたときに「あれ、少し変わっている」とわかる距離感です。手首や首元に軽く。暑い日はつけすぎない方が、カシスと土のバランスがきれいに見えます。

評判は、かなり期待値で分かれます。「思ったより使いやすい」「ベリー寄りで親しみやすい」「土感が面白い」という声がある一方で、「ビーツを期待すると控えめ」「ブラックカラントが強い」「持続は軽め」という声もあります。どちらも、この香水の性格を言い当てています。

スカーレット ビートルート コロンは、野菜の香水という話題だけで終わる一本ではありません。赤い果汁で入り、土に触れ、パチョリで静かに残る。カシスと土が残す赤い菜園の余韻。その流れが好きなら、限定のうちに試す価値があります。

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