No.04 ボワ・ドゥ・バランクール

メゾン・ルイ・マリー「No.04 ボワ・ドゥ・バランクール」は、サンダルウッドとシダーを中心にした瞑想的なウッディです。スパイスの乾いた入口からクリーミーな木肌へ進み、静かな部屋に漂うような落ち着きを残します。

#258 · 2026-02-01

Maison Louis Marie / No.04 Bois de Balincourt

香水の基本情報と第一印象

**No.04 ボワドゥバランクール**(No.04 Bois de Balincourt)は、クリーンビューティブランド「メゾンルイマリー」を代表する香りです。日本では「バランクールの森」という通称でも広く知られています。

香調はウッディスパイシー、あるいはウッディアロマティック。サンダルウッドを主役に、シダーとスパイスが織りなす「静謐な森」の香りは、世界中でカルト的な人気を誇ります。

一言で表すなら「雨上がりの古城の森を歩く、クリーミーな瞑想の香り」。清潔感、知性、そしてほんのりとした体温のぬくもりを感じさせ、都会の喧騒を離れたいオフィスワークや、大切な人と過ごす親密な時間にぴったりの香りです。


調香師・ブランドの背景と制作秘話

メゾンルイマリーの名は、18世紀の植物学者**ルイマリーオーベールデュプティトゥアール**に由来します。1792年、フランス革命の混乱の中でマダガスカル方面へ亡命した貴族であり、10年に及ぶ亡命生活で2000種以上の植物標本を収集。蘭の研究のパイオニアとしても知られています。

ブランドの創設者**マリーデュプティトゥアール**は、その直系の子孫です。ベルギー生まれ、フランス育ち。サンデータイムズなどでファッションエディターとして活躍した後、2012年にブランドを設立しました。

!img

彼女は伝統的な調香師の訓練を受けたわけではありません。家族に伝わるレシピと記憶を「嗅覚の標本」として再構築するという、独自のスタイルで香りを創り上げています。


香りの詳細分析

**トップノート(最初の5〜15分)**

主要香料は**サンダルウッド**と**シダーウッド**。削りたての鉛筆のような、シャープで清潔な木材の香りが立ち上がります。

この香水の特徴は、柑橘系をあえて排除していること。最初から「森の深部」へと誘われるような構成です。一部では、隠し味としての「ニアウリ」が薬草のような清涼感を与えているとも言われています。

**ミドルノート(15分〜2時間)**

主要香料は**ベチバー**、**ナツメグ**、**シナモン**。湿った土と、空気を温める微かなスパイスの香りが現れます。

ベチバーが「雨上がりの森の地面」を表現し、スパイスは主張しすぎることなく、木々の香りに「生命の鼓動」のような温かみを添えます。

**ラストノート(2時間以降)**

主要香料は**アンバーウッド**。肌に溶け込むパウダリーで柔らかな残香が続きます。

サンダルウッドのクリーミーな側面が最大化され、人によっては「ココナッツ」や「バニラ」のような微かな甘さを感じることも。これはアンバーウッドによる定着効果です。

**特徴的な嗅覚体験**

一部で「ディル」や「ピクルス」に例えられる青みは、サンダルウッドのセスキテルペン類とベチバーのアーシーさが生む「透明感」の表れです。時間の変化とともに「乾いた木」から「湿った土」、そして「温かい肌」へと、まるで森を歩いて家に戻るようなグラデーションを描きます。


他の香水との比較・ポジショニング

**サンタル33(ル・ラボ)との比較**

共通点はサンダルウッドとシダーのモダンな組み合わせ。サンタル33はレザーとパピルスが強く、非常にドライで都会的な印象。一方、No.04はレザーを含まず、スパイスによる「丸み」と「甘み」があり、よりウェアラブルです。

サンタル33が「野生のカウボーイ」なら、No.04は「森を愛する貴族」と言えるでしょう。

**タムダオ(ディプティック)との比較**

どちらも瞑想的なサンダルウッドが特徴。タムダオは「冷たい静寂」「乾いた寺院」のイメージですが、No.04はスパイスとベチバーにより「温かい静寂」「湿った生命力のある森」を感じさせます。


購入ガイド・価格・おすすめ度

**主要ラインナップ**

  • **オードパルファム(EDP)50ml**:空間に広がる拡散性を楽しむ
  • **パフュームオイル(ロールオン)15ml**:高濃度・低拡散・高持続。自分だけの香り
  • **キャンドル**:部屋全体を「バランクールの森」に
  • **ボディオイル / デオドラント**:レイヤリング用

**EDPとパフュームオイルの違い**

EDPはトップのシダーが鮮やかに立ち、周囲に香る「装い」の香り。持続は4〜6時間程度。

パフュームオイルは最初からミドルの温かさが続き、8時間以上肌に残ります。着用者と密着した人だけが知る「秘密」の香りです。


実際の使用感・シーン・評判

**おすすめのシーン**

湿度の高い「雨の日」や、冷え込む「冬の朝」に最適。夏の酷暑では、サンダルウッドのクリーミーさが重たく感じられることもあるので注意が必要です。

白いリネンシャツや、オーバーサイズのカシミアニットとの相性が抜群。

**レイヤリングのヒント**

パフュームオイルを耳の後ろに、EDPを手首に。これで持続性と拡散性を両立できます。バニラ系の香水と重ねると、スパイスが際立ち、スパのようなリラックス感が生まれます。

**愛用者の声**

The 1975のマシューヒーリーは「これなしでは生きられない」とGQで公言。ハリウッド女優ジェシカチャステインなども愛用しています。日本では「お寺の香り」、海外では「最高にファンシーなピクルス」という愛称で呼ばれることも。


**バランクールの森**——実在する古城の森の記憶が閉じ込められた、静かで深い香りの世界へ、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

香水・ブランド・調香師