アブサン ボレアル

メゾン クリヴェリ「アブサン ボレアル」は、北極の冷気とアブサンの苦みを重ねたアイシーなフゼアです。ジュニパー、ユーカリ、ミント、ラベンダー、オークモスが透明な寒さを作り、草の苦みが静かに残ります。

#247 · 2026-01-21

Maison Crivelli / Absinthe Boréale

香水の基本情報と第一印象

メゾン クリヴェリ「アブサン ボレアル」は、2019年に発売されたオードパルファム(賦香率18%)。アロマティック・ムスキーに分類される、ジェンダーレスなフレグランスです。

最初の印象は「圧倒的な冷たさ」。ユーカリとミントが鼻腔を駆け抜け、まるでブリザードの中に立っているかのような感覚を覚えます。しかしその奥には、乳白色のラベンダーと清潔なムスクが静かに待っています。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

調香を手掛けたのは、エルメス「オー デ メルヴェイユ」で知られるナタリー・フェストエア。2019年にはロシアFIFIで調香師オブ・ザ・イヤーを受賞した、世界的に評価の高い調香師です。

ブランド創設者ティボー・クリヴェリは、調香師に香料リストではなく「色、音、温度感、感情」を織り交ぜたムードボードを渡したそう。北欧のオーロラ、踏みしめる雪の音、ショットグラスのアブサン——そんなイメージから、この香りは生まれました。

香りの詳細分析

**トップノート**では、ジュニパーベリー、ユーカリ、ミント、レモンが炸裂。ジントニックを思わせる鋭い爽快感と、1,8-シネオール由来のカンファー的な清涼感が、極北の凍てつく空気を物理的に演出します。

**ミドルノート**に移ると、「乳白色」と形容されるクリーミーなラベンダーが登場。アブサンの核であるアルテミシア(ニガヨモギ)のビターな薬草感が、ラベンダーの甘さを引き立てる「中毒性のある対比」を生み出します。

**ラストノート**は、ホワイトムスクを中心とした「暖かい隠れ家」のような余韻。オークモスやスイートレジンが森の静寂のような奥深さを添え、清潔な毛布に包まれるような心地よさへと着地します。

他の香水との比較・ポジショニング

同系統の香水と比べると、この作品は香料の組み合わせだけでなく、ブランドが描く情景や温度感に個性があります。似たノートを持つ香りがあっても、全体の印象は単純な置き換えではなく、この香水ならではのバランスで成立しています。

購入ガイド・価格・おすすめ度

日本では30ml(約15,400円)と100ml(約34,650円)が展開されています。30mlから試せるのは、ニッチフレグランス初心者にも嬉しいポイント。

おすすめしたいのは、甘さを徹底的に排した清潔感を求める方、ラベンダーの新しい解釈(アイシーなラベンダー)を探している方。一方、強い持続力や拡散性を求める方には、別の選択肢を検討されても良いかもしれません。

実際の使用感・シーン・評判

持続時間は2〜4時間程度で、ミドル以降はスキンセント(肌に密着した香り)へと変化します。プロジェクションは控えめで、自分自身のパーソナルスペースを整えるような広がり方。

おすすめのシーンは、オフィスでの集中タイム、朝のルーティン、または就寝前の静かな時間。冬の冷たい空気と共鳴させるのはもちろん、真夏の猛暑を「嗅覚からマイナス5度」涼しくしてくれる清涼剤としても優秀です。

パリッとした白いシャツやネイビーのコートなど、清潔感のあるモノトーンとの相性が抜群です。

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