アトラメンタル
タトゥーを入れた肌の匂いを描いたオードパルファム。柑橘の明るさをブラックペッパーが断ち切り、サフラン、スデラル、カストリウムが暗く温かな印を肌に残す。
調香師: アンヌ=ソフィー・ベアゲル
アトラメンタルが描くのは、タトゥーを入れた肌の匂いだ。肌は清潔でも、白紙ではない。そこには本人の物語や夢、ときには抗議までが刻まれている。オーデコロンでは消せない黒い水、つまり一度入れたら残るインクのイメージが、この香りの出発点になっている。
ベルガモットとレモンの明るさは、ブラックペッパーの刺激にすぐ押されていく。トップにはシスタスと水のノートも並び、樹脂めいた熱と濡れた冷たさが、清潔な肌の上で同時に揺れる。ハートのカルダモンとブラックペッパーは、柑橘の軽さを乾いたスパイスで引き締める役目を担う。
ラストはレジン、サフラン、スデラル、カストリウム。サフランの温かさが、肌に残るインクの色のようにとどまり、レジンとスデラルが香りの中心へにじむように広がる。カストリウムは全体に動物的な骨格を与え、柑橘で始まった香りを、肌に刻まれた印のような深さへ導く。
ドクター・マイクは、タトゥーを記憶と結びついた個人的な物語として捉えている。過去の一瞬をインクで一生へ延ばすという考えが、この香りの暗い温度を支えている。









