長い年月を経てシチリアへ戻った作り手が、パレルモの路地と教会をめぐる旅を、魂と聖なるものとの個人的な関係として香りに置き換えた。ブランドが「神秘のサイクル」と呼ぶ新たな探求の第一章で、香水を儀式として扱う出発点にあたる。この作品には、調香師の人生に影響を与えたピエル・パオロ・パゾリーニとアントネッロ・ダ・メッシーナへの献辞も込められている。
始まりは強く、刺すように鋭い。インセンスとタイムが溶け合い、記憶という聖域の扉を少しずつ開けていく。そのあともトンカビーンとベンゾインの甘さと、時間をかけて熟した花のアコードとのせめぎ合いが続く。
やがて張りつめた空気はほどけ、思いがけない安らぎが訪れる。パチュリ、ウード、グアイアックウッド、ベチバー、ラブダナムのアコードが、長く忘れられていた古い引き出しのような匂いを立ちのぼらせる。






