静かなギリシャの村を離れると、密に茂った野生の低木が広がる。キトノスが描くのは、キクラデス諸島のそんな風景だ。2019年にアメリー・ブルジョワが手掛けたオーデパルファムで、乾いた熱い風に揺れる植物と土の気配を、ラベンダー、タイム、ベチバーで表現している。ブルジョワは、歴史あるフゼアの骨格を現代の感触へ組み直すという意図も語っている。
入口のラベンダーは、涼やかな芳香の中に少し木を思わせる輪郭を持つ。そこへタイムの葉のようなシャープさが加わり、中心の香りへ続く。ベースでは、根から得られるベチバーの木質感が、グリーンでわずかに煙を含むような表情を添える。柔らかな花の甘さより、草木の鮮明さと地面の落ち着きがつながる構成だ。
散歩や日中の外出など、植物の爽やかさに乾いた奥行きも欲しいときに。100mLは丸みのある黒いガラスボトルに、幅広い黒いキャップを載せた姿。黒いラベルに金色のブランド名、植物画、キトノスの名を配し、丸いガラスの底まで簡潔な輪郭を保っている。


