ザ・グレイ・エリアは、ブランドのニュートラル・ノーツに位置するフレグランスで、黒と白のあいだの灰色という意味を持つ「オフホワイト」を立ち上げたヴァージル・アブローから着想を得ています。白と黒のどちらにも寄り切らない彼の姿勢を、男女の境界をまたぐ香り立ちへと翻訳した一本です。
トップはレモンの明るい酸味に、パインの樹脂を含んだ青い香り、ラベンダーの乾いた甘さ、ナツメグのわずかな辛みが重なり、冷えた針葉樹林の空気を描き出します。中央にはトンカビーンだけを置き、ほのかな甘さと乾いた香ばしさで中段の骨格を軽く支えます。
ベースではアガーウッドの深く煙を帯びた木の香りと、パチョリの土と湿った葉のような暗さが寄り添い、肌の上で穏やかな温度を保ち続けます。輪郭をはっきり引かず、灰色の余白をそのまま身にまとうためのウッディ・ムスキーです。性別を特定しない語り口が、残り香にも最後まで通っています。






