「カリスト」は、ジュル エ マッドがその名に宿る二面性を、明るさと暗さを結ぶ香りとして描いた一本。発想の起点にあるのは、夏の夕暮れが夜へ移るころ、星空の下で黒く光る砂浜を歩くという想像の情景だ。そこから星々へ向かう旅は、外の宇宙を眺めるためというより、自分の内側へ降りていくための旅として描かれる。
香りの入り口は、ピンクペッパーとネロリ、アルデヒドによる明るい光。弾けるような刺激と白い花の澄んだ気配が、暗くなる前の空の輝きを思わせる。中心ではアイリスとヘリオトロープの粉っぽさに、トンカビーンの甘さが重なり、花でありながら菓子を思わせる柔らかさも帯びていく。
ラストはバニラとベンゾインの温かな甘さを、ムスクとパチョリが落ち着いた陰影へ引き締める。調香はルカ・マッフェイ。パウダリーとグルマンが釣り合う構成で、性別を限定しないユニセックスな性格を持つ。









