ディス イズ ノット ア ブルー ボトル 1/.3
ブラッドオレンジの皮の苦みから、ローズとサフランの乾いた熱、パチョリとレザーの硬い残り香へ。公式が「炎の香水」と呼ぶ、アンバリー・レザー。
調香師: ジュリアン・ラスキネ
ブラッドオレンジが最初に立つとき、果汁の甘さより皮の苦味が先に来ます。そこへローズとサフランが重なり、花の柔らかさというより、乾いたスパイスの熱として立ち上がる。公式はこの香りを「炎の香水」と呼び、燃える輪を思わせる濃いオレンジの太陽が、ローズとサフランの円を越えてレザーの力を解き放つと語ります。
中心にあるのはローズとサフランです。ローズは甘く開くというより、サフランの苦みと金属的な響きをまとって、少し乾いた花になる。ブラッドオレンジの酸味がその輪郭を引き締め、全体に火の気配のような温度を与えます。
後半ではパチョリとレザーが香りを受け止めます。パチョリは湿った土ではなく、葉の乾いた苦みとして働き、レザーはしなやかさより、擦れた革の面のような硬さを残す。甘さは控えめで、スパイスと革のあいだを橙の残響が行き来します。
シリーズ名は、パイプを描きながら「これはパイプではない」と記したルネ・マグリットの作品に由来します。抽象から熱い感情へ向かうシリーズのなかで、この1/.3が表すのは「炎」です。涼しい日の夕方に、スパイスと革の温かさを楽しみたくなります。




