1889 ムーラン ルージュ
1889年、パリに灯ったムーラン ルージュの夜を香りにした一本。タンジェリンとプルーンの甘酸っぱさにシナモンが温かく重なり、アブサンとダマスクローズが舞台の熱を帯びます。締めくくるのはアイリスの粉っぽさとパチュリ、ムスク。口紅と羽根の気配が残る、夜のためのフローラル パウダリー。
1889年、モンマルトルにムーラン ルージュが開場しました。この香水はその夜を、客席の高揚と舞台裏の余韻まで含めて香りにしています。最初に感じるのはタンジェリンとプルーンの甘酸っぱさ。そこへシナモンが温かく重なり、シャンパンの気泡のように気分を引き上げます。
舞台が始まると、アブサンの苦みのある緑が顔を出します。ダマスクローズの豊かな花びらがそれを受け止め、甘さと刺激が重なります。華やかさの奥に、少し薬草めいた冷たさが残るのがこの香りの面白さです。
幕が下りると、香りは粉っぽい方向へ移ります。アイリスの乾いた粉感、パチュリの土の匂い、ムスクの柔らかさ。公式が挙げるファーが肌の近くに動物的な温もりを添えます。口紅と羽根を思わせる描写に、舞台の華やかさと楽屋の親密な空気が重なります。
着けるなら夜。気温の下がる秋から冬に、少し華やかな装いと合わせたくなります。甘さと苦みの両方を持つため、軽いフローラルでは物足りないときに選びたい一本です。








