バニラ フィレンツェは、バニラの異なる表情に、イタリア産オリスの繊細さと、ミルラの温もりを重ねたオードパルファム。ヴェロニク・ニーベルグが手掛け、2025年にグッチのアルケミスト ガーデン コレクションへ加わった。受け継がれてきた香料の扱い方や、香りをつくる技に着目した作品だ。バニラのインフュージョン、アブソリュート、エッセンスという三つの抽出物を使い、温もり、なめらかな甘さ、豊かな奥行きを描いている。甘いバニラの中にも、花の粉っぽい柔らかさと、樹脂の落ち着いた影を感じたい人に向く。
ブラックペッパーとカルダモンが、始まりに乾いたスパイスの輪郭を運び、キャロットシードの土や根を思わせる表情が寄り添う。中心のイタリア産アイリスバターは、オリスの柔らかな粉っぽさを添える素材。ナミビア産ミルラの樹脂と、シャムベンゾインの穏やかな甘さが、花の繊細な印象に温もりを重ねている。基調では、ブルボンバニラの三つの抽出物が、なめらかで包み込むような感触を広げる。スパイスと根の乾いた表情から、オリスと樹脂、バニラの柔らかな甘さへつながる構成だ。
静かな夜の読書や、柔らかなニットで過ごす日に試してみたい。クリーム色の服や、なめらかなスカーフに、バニラとオリスの穏やかな温もりを添える選択肢になる。採用した100mLは、丸い肩を持つ黒いガラスボトルに、金色を帯びたキャップを重ねている。正面の馬と、商品名を囲む葉やリボンの意匠は、いずれも金色。古い薬局の香水瓶に着想を得た形に、馬の気高さや力強さを重ねたデザインだ。黒い胴と細い金の装飾が、甘いバニラに樹脂の深さが寄り添う香りを、落ち着いた姿にしている。






