ア フローラル ヴァースは、インド産ジャスミン サンバックと、スリランカ産の紅茶を、柔らかなホワイトムスクでつないだオードパルファム。アレクサンドラ・モネが手掛け、2023年にグッチのアルケミスト ガーデン コレクションへ加わった。夕暮れから夜明けへと続く、自然の光と暗さの関係を、香りの詩として描いている。夜に咲くジャスミンの豊かな白い花に、紅茶の乾いた葉と、煙を思わせる表情が寄り添う。濃い花を、青みやスパイスの輪郭も感じながら楽しみたい人に向く。明るい花の表情と、茶の静かな陰影が、柔らかなムスクの中で響き合う香りだ。
始まりのジャスミン サンバックは、豊かで柔らかな白い花の主題。中心のスリランカ産ブラックティーは、乾いた葉を思わせる表情に、煙のような感触を重ねる。茶のフレッシュさと、穏やかなスパイスが、白い花の濃さに、すっきりした輪郭を添えている。基調のホワイトムスクは、花と茶を、柔らかな感触でつなぐ素材。華やかな花びらから、乾いた茶の葉、肌になじむようなムスクへと、異なる表情がひとつの流れをつくる。花の甘さと、茶の静かな深さの間に、軽やかな青みを感じる構成になっている。
木陰のカフェや、穏やかな午後の美術館に試してみたい。オリーブ色のシャツや、柔らかな生成りの服に、ジャスミンと茶の感触を添える選択肢になる。採用した100mLは、緑色のガラスの丸い肩のボトルに、金色のキャップを重ねたもの。正面の花を生けた器と、葉やリボンの細い金色の装飾が、豊かな花の主題を伝えている。花と茶の、明るさと陰影の関係を、緑と金の落ち着いた色で表す意匠だ。アルコール部分には、回収した炭素の排出物を原料にしたアルコールを用い、香りだけでなく素材の選択にも着目している。


