アヘドレはスペイン語で「チェス」を意味し、1960年代のチェスプレイヤーが集う薄暗い部屋へと誘う。身なりの整った紳士の装いから漂うような、乾いたスパイスとイリス、わずかなタバコ、そしてモスの気配。盤上の駒がゆっくりと動くように、ベルガモットとブラックペッパー、カルダモン、ラベンダーが落ち着いて立ち上がり、オリスの冷ややかな粉っぽさとタバコの温もり、アンバーウッドの深さへと続く。時は前にも後ろにも進み、ときに静止する。その「間」にこそ動きがある——ラルフ・シュヴィーガーが調香したフラッサイの一本は、思索の時間そのものを香りに移し替えている。






