ラジオ ボンベイ オードパルファム
熱した1969年製アンプの匂いから、サンダルウッドでできた架空のラジオを思い描いたウッディ。バンドラの暑い店でラーガを鳴らすその木から、マイソールのサンタルを組み直す。
調香師: デイヴィッド・セス・モルツ
作り手が関心を寄せるのは「仮説の香り」だ。強い匂いを持たない物でも、香りを想像させることはある。きっかけは、1969年製のフェンダー・デラックスのアンプ。激しく弾いたあと熱を帯びた背面から、埃っぽく金属的なグリースの匂いが立ち、湿った会場の舞台裏を思わせたという。
では、サンダルウッドでできた古いラジオに真空管アンプが入っていたらどうなるか。熱が木の孔を開き、ムスキーなシダー、桃、ココナッツ、ラクトン、ミルクの香りを次々に立たせるだろう。ラジオ ボンベイは、マイソールのサンダルウッドを思わせる香りを、こうした要素へいったん解体し、組み直したものだ。表記されたノートには、銅、シダー、サンダルウッド、ボロニア、ココナッツムスクのアコードなどが並ぶ。
作り手はそのラジオを、ボンベイの“ブルックリン”と呼ぶバンドラの小さく暑い店に置く。熱が木の油分をほどき、小さなスピーカーからはラーガやギータ・ダットの曲が、にぎやかな街へこぼれていく。








