ビガラード 18
ビガラード 18は、ベルガモットとネロリの青くほろ苦い明るさに、温かなムスクと少量のウッドを重ねた香りです。香港の古さと新しさを、明るい柑橘と落ち着いた余韻が互いを消さずに共存する構成へ映しています。
#494 · 2026-09-25
香水の基本情報と第一印象
ル ラボのビガラード 18は、香港に捧げられたシティ エクスクルーシブ コレクションのオード パルファムです。ベルガモット、ネロリの花びら、ムスク、少量のウッドを軸に、明るさと温かさを一つの香りに収めています。
第一印象を作るのは、ベルガモットとネロリのキリッとした明るさです。ただし、軽快なシトラスコロンのように爽やかさだけで走り切る香りではありません。柑橘と花の近くにはムスクの柔らかな温度があり、少量のウッドが乾いた重さを加えます。明るい側と暗い側のどちらにも傾き切らないことが、この香水の個性です。
作品を貫くのは、硬さと心地よさ、古典と現代、澄んだ明るさと長い余韻という対照です。ベルガモットの苦みが輪郭を引き締めても、ムスクの温かさは消えません。反対に、ムスクとウッドが落ち着きを作っても、ネロリの明るさは埋もれない。勝者を決めない綱引きのような均衡が続きます。
香港では通年販売されますが、それ以外の地域では購入できる時期が限られます。世界向けのオンライン販売は、サンプルが8月から9月、フルサイズが9月。都市との結び付きを、香りだけでなく販売方法にも残した一本です。
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調香師・ブランドの背景と制作秘話
ビガラード 18の調香師名は確定していません。
ル ラボでは、ラボで注文を受けてから香水を手作業で調合し、ラベルへ名前、日付、場所を記します。ビガラード 18にもラベル、箱、刻印を個別化できる仕組みがあり、均一な製品でありながら、手にした一本の記録が外観に残ります。
ビガラード 18は、エディ・ロスキが香港で過ごした記憶へのオマージュとして作られた、という話があります。語られているのは、リパルス・ベイ・ホテルの廊下を歩き、そこに並んだ百合と柑橘の木の香りを感じた場面です。大都市を象徴する建物や光景ではなく、廊下に混じる花と果樹の匂いが出発点になっています。
古いクラシックな原料を使いながら、現代的で忘れがたい香りを作る。そこには、古い香港と新しい香港が同居する記憶が重ねられています。ベルガモットとネロリの古典的な明るさへ、ムスクとウッドの深さを合わせた構成は、この古さと新しさの関係を香りとして伝えます。
香りの詳細分析
ビガラード 18では、トップ、ミドル、ベースという段階より、四つの主要な素材がどう向かい合うかが大切です。ベルガモット、ネロリの花びら、ムスク、少量のウッドが、時間の中で濃淡を変えながら関係を保ちます。
ベルガモットは、クラシックな柑橘の明るさを担います。肌では、みずみずしさだけでなく、青い果肉を思わせる苦みや鋭さとして感じられることがあります。甘いオレンジジュースのような方向ではなく、皮や白いわたを含んだ柑橘を切ったときの、少し引き締まった印象です。
ネロリの花びらは、ベルガモットの明るさを花の香りへつなぎます。透明感のある白い花の印象に、グリーンな苦みが重なるため、華やかな甘さ一辺倒にはなりません。百合を思わせる厚みを感じることもあり、細く鋭いシトラスと、密度のある花の香りが同時に現れます。
ムスクは、柑橘と花の後ろへ温かさと奥行きを加えます。清潔な布や石けんを思わせる方向へ出ることもありますが、ただ軽く清潔なだけではありません。ネロリの鋭さを柔らげ、明るい素材が肌から離れすぎないように支えます。
少量のウッドは、ムスクとともに落ち着いた側を作ります。樹種は特定されていませんが、役割は明確です。ベルガモットとネロリが一方的に明るくならないよう、乾いた木の重さを加えること。最後まで柑橘の苦みと花の白さを残しながら、温かなムスクと木質が余韻を整えます。
持続の感じ方には幅があります。肌で約3時間という例がある一方、ネロリと花の印象が約3時間続き、その後の淡いムスクまで含めて約9時間感じられた例もあります。紙の上だけで決めず、肌で一日試す価値がある香りです。
他の香水との比較・ポジショニング
同じル ラボのネロリ 36とは、ネロリ、シトラス、ムスクという共通点があります。ビガラード 18は、青い果肉を思わせる柑橘の苦みと、シャープな爽快感が前へ出る方向。ネロリ 36は甘みがより濃く、マリンとムスクが丸く温かく感じられます。苦みのある輪郭を求めるならビガラード 18、柔らかなネロリを求めるならネロリ 36が候補になります。
フルール ドランジェ 27とは、オレンジブロッサム、ベルガモット、ムスクに接点があります。フルール ドランジェ 27は花びらの厚みと華やかな甘さが中心です。対してビガラード 18では、軽く青いシトラス感が先に立ち、花の甘さをムスクとウッドが落ち着かせます。
フレデリック マルのコロン ビガラードとは、ビターオレンジとネロリを中心に、柑橘の苦みと花の香りを比べられます。コロン ビガラードは、プチグレンとカルダモンが加わることで、よりスパイシーでウッディ、甘さの少ない香りです。ビガラード 18は、白い花とムスクの柔らかさが相対的に強く感じられます。スパイスとウッド、甘さの少ない柑橘を求めるか、花とムスクの柔らかさを残したいかで選択が分かれます。
三本との比較から見えてくるのは、ビガラード 18が単なるネロリ香でもベルガモット香でもないことです。柑橘の苦み、花の厚み、ムスクの柔らかさ、木の乾きを同じ場所に置き、どれか一つだけを主役にしません。
購入ガイド・価格・おすすめ度
香水本体はオード パルファムのみで、公式に確認できる別濃度はありません。1.5 mlのディスカバリーは同じ香りを試すための小容量であり、別処方ではありません。2026年時点の日本公式価格は、1.5 mlが1,760円、15 mlが22,990円、50 mlが52,250円、100 mlが76,560円です。
初めてなら、1.5 mlで肌との相性を確かめる方法があります。見るべき点は、最初の柑橘の苦みだけではありません。ネロリの花がどれほど厚く出るか、ムスクが石けんのように感じられるか、ウッドの乾きがどの程度残るかまで、一日を通して確かめたいところです。
継続して使うなら、携帯しやすい15 ml、使用頻度に合わせやすい50 mlや100 mlから選べます。50 mlと100 mlにはオンラインで通年利用できるリフィルがあります。香港のラボでは通年販売される一方、世界向けのオンライン販売は時期が限られるため、最新の価格と販売状況は購入前に確認が必要です。
明るい柑橘と温かなムスクの両方が好きな人、甘さより青い苦みを求める人には試す理由があります。反対に、ネロリへ濃い甘さを求める人や、終始軽いシトラスだけを望む人には、花やムスクの厚みが予想より強く感じられるかもしれません。
実際の使用感・シーン・評判
合わせやすいのは、春から夏の日中です。暑い時期の朝、仕事前、明るい時間の街歩きなど、清潔感がほしい場面でベルガモットとネロリの明るさを生かせます。白いシャツや軽いジャケットのような端正な服装にもなじみます。
暖かい季節の夕方には、ムスクとウッドの温かさが昼間とは違う表情を見せます。初秋も候補ですが、中心になるのは朝から日中。重い夜用香水として考えるより、明るさの中に落ち着きを持たせたい日に向いています。
一方、高温多湿の日には、白い花や石けんの印象が強く出ることがあります。香りに厳しい職場、食事の席、公共交通では、最初から多く付けず1〜2プッシュに抑えるのが安心です。広がり方や持続には個人差があるため、近い距離で強く感じないかも確認しておきたいところです。
オレンジの花と柑橘、ムスクがきれいに混ざり、ネロリが鋭くなりすぎないという好意的な声があります。その一方で、白い花や石けんが強く感じられる、持続が物足りないという声もあります。明るい柑橘と温かな余韻の均衡が、自分の肌でどう現れるか。それを確かめる時間まで含めて楽しみたい一本です。


