ミルラ 55

樹脂の深みに明るい花を重ねた、上海のシティ エクスクルーシブ。ミルラ、ジャスミン、パチョリを木やムスクが支えるシプレーです。

#487 · 2026-09-18

Le Labo / MYRRHE 55

香水の基本情報と第一印象

ル ラボのミルラ 55は、ミルラを中心にジャスミンとパチョリを組み合わせた香水です。2023年に登場したオード パルファムで、上海に結び付いたシティ エクスクルーシブ。都市ごとに香りを用意するコレクションの一本です。

名前にあるミルラは、お香を思わせる香りを持つ樹脂です。そこへ明るい花とパチョリが加わり、木やムスクが全体を支えます。花の華やかさと樹脂の奥行きを一緒に味わいたい人に、気になる組合せでしょう。

香調、つまり香りの分類はシプレー。ブランドが重ねるのは、古いものと新しいものが同居する上海の印象です。古い樹脂の名前を持ちながら、花や木、ムスクを組み合わせた現代の香水になっている。都市の物語へ入る前に、その花と樹脂を思い浮かべると、一本の香りとして近づきやすくなります。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

ミルラ 55は、ダフネ・ブジェが調香した作品とされています。香料会社ディーエスエム フィルメニッヒで活動する彼女は、10歳の頃から調香師を志し、香水瓶や広告を集めていた人。香水への関心は、幼い頃から続いています。

彼女が大切にするのは、多くのことを経験し、感じ、自由に創作するという姿勢です。所属先の公式プロフィールによると、彼女は1年間の休暇を取り、その期間に各地を旅しました。ネパールで瞑想し、日本の有機農場で働き、インドではアーユルヴェーダを学ぶ。イタリアでは言語や現代美術にも触れています。

香料以外の経験にも感覚を開いている作り手。その好奇心を知ると、都市を香りで語る仕事にも関心が広がります。

ル ラボは2006年、ニューヨークのノリータで最初のラボを開きました。創業者ファブリス・ペノーは、企画に合う調香師へ仕事を任せることや、香水に出会う環境を大切にする姿勢を語っています。

「55」という数字は、使われている原料の数にちなんだ名前です。一方の「ミルラ」は、処方の中で重さの割合が大きい原料から付けられています。

ただし、処方中の重さと匂いの強さは別の話です。少量でも強く香る原料があるため、香水の名前になっているミルラが一番強く香るとは限りません。ジャスミンやムスクの方を強く感じる人もいます。

香りの詳細分析

キーノートは、ミルラ、ジャスミン、パチョリ、ウード、アンバーグリス、ムスクの6つ。花と樹脂を、木やムスクが支える組合せです。

ミルラの樹脂らしい深みは、本作を知るための入口になります。そこへジャスミンの明るさとパチョリの落ち着きが加わる。花と樹脂のどちらを強く感じるかは、肌によっても変わります。

ウード、アンバーグリス、ムスクは、この組合せを支える役割です。木やムスクが加わることで、明るい花と深い樹脂の間に厚みが生まれます。

ちなみに、ミルラ 55のムスクを含むこれらのノートはヴィーガンで、動物由来の原料を使うという意味ではありません。

他の香水との比較・ポジショニング

同じル ラボのムース ド シェーヌ 30は、アムステルダムのシティ エクスクルーシブ。古典性と現代性を組み合わせるシプレーという点が、ミルラ 55と共通します。

ムース ド シェーヌ 30には、モスとパチュリに、クリスタルモスとクリアウッドという香料、シナモンやピメントベイオイル、ピンクペッパーが組み合わされています。注目したいのはモスとスパイス。ミルラ 55では、ジャスミンの花とミルラの樹脂へ目を向けたくなります。同じコレクションでも、どの素材を楽しみたいかで選ぶ一本が変わりそうです。

ジョー マローン ロンドンのミルラ & トンカは、ミルラの樹脂をテーマにするコロン インテンス。ラベンダーにナミビアのオムンビリ ミルラ、トンカ ビーンを組み合わせています。トンカのアーモンドやバニラを思わせる温かさが特徴です。

トンカの丸い甘さを楽しみたいならミルラ & トンカ、花と樹脂の重なりが気になるならミルラ 55。共通するミルラに何を合わせるかが、選ぶ手がかりになります。

購入ガイド・価格・おすすめ度

ミルラ 55の通常サイズは15ml、50ml、100ml。試香用の1.5mlもあります。2026年の日本価格は、15mlが22,990円、50mlが52,250円、100mlが76,560円。1.5mlは1,760円です。

まず肌での印象を確かめるなら1.5ml、持ち歩く量を選びたいなら15mlが候補になるでしょう。50mlと100mlは、気に入った香りを継続して使う人の選択肢です。

上海のル ラボでは通年販売。日本のオンラインでは1.5mlが8月と9月、通常サイズは9月に購入できます。50mlと100mlのボトルは、ラボ併設店舗で通年リフィルが可能です。出会える場所や時期が限られた香水にも、手にしたあとは補充して使い続ける仕組みがあります。

ボトルは透明な円筒形で、金属色の円筒キャップと、淡い紙色のラベルが印象的。黒い文字で香水名や容量が並ぶ外観は、香水そのものへ目を向けたくなる簡潔さです。パーソナライズできるラベルにも、自分の一本として使う楽しみがあります。

価格と販売時期を考えると、ミルラという名前への関心だけで大きなボトルを選ぶより、花との重なりが好みに合うかを試す時間を取りたいところです。お香の落ち着きを求める人も、ジャスミンを楽しみたい人も、同じ一本から気になる部分を探せるでしょう。

実際の使用感・シーン・評判

合わせる場面として、まず思い浮かべたいのは涼しい夕方。ジャケットや柔らかなニットで街へ出かける日や、人と会う日にも、花の存在感と樹脂の落ち着きを楽しめそうです。食事の直前に強く香らせるより、あらかじめ肌で香り立ちを確かめておくとよいでしょう。

きちんとした装いには花の華やかさを、柔らかな服には樹脂や木の落ち着きを重ねる。そんな合わせ方を想像できます。特別な外出だけに限らず、いつもの街を少しゆっくり歩きたい日にも候補になりそうです。

着用した人の中には、明るいジャスミンから温かな木の印象へ変わるところを楽しむ人がいます。一方、名前から期待した樹脂より、花を強く感じたという声もあります。

紙では樹脂を感じたのに、肌では予想していなかった甘さが中心になり、その香りを気に入った人もいました。入浴後に自分のためにつける心地よさも挙げています。

1プッシュで約10時間楽しめたという人もいます。最初は少量で、日中から夕方までの変化を確かめたいところ。花が目立つのか、樹脂が印象に残るのか。自分の肌で感じる香りが、ミルラ 55を選ぶ最後の手がかりになります。

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