ベ ローズ 26
明るいピンクペッパーとクローブに、ローズ、乾いたシダー、柔らかなムスクを重ね、シカゴのジャズを表したシティ エクスクルーシブです。
#477 · 2026-09-08
香水の基本情報と第一印象
ル ラボのベ ローズ 26は、2010年に登場したシカゴのシティ エクスクルーシブです。濃度はオード パルファム。ブランドが都市ごとに一作を結びつけたコレクションの中で、シカゴを受け持っています。
名前だけを見ると、薔薇が主役の香水を思い浮かべるかもしれません。けれど、ベ ローズの“baie rose”はフランス語でピンクペッパーを指します。この言葉の中で、辛く明るい実と、柔らかなローズの花が出会います。
つけ始めに感じやすいのは、細かなピンクペッパーとクローブの刺激、アルデヒドの冷たい明るさです。やがてローズの厚みが見え、乾いたシダーとムスクが後ろを支えます。甘い花束というより、辛さときらめきを残したローズ。公式はこの対照を、速い音と静かで心地よい音が同居するジャズに重ねています。
調香師・ブランドの背景と制作秘話
ベ ローズ 26の調香師は、フランク・フォルクルです。ドイツ生まれで、叔父の農場で嗅いだ納屋の刺激的な匂いと雨上がりの空気を、幼少期の強い記憶として語っています。オランダとフランスで育ち、パリで香水を使い始めました。
フォルクルは化学を学び、香水の専門教育機関であるイジプカを卒業しました。ドイツでキャリアを始め、のちにニューヨークへ移ります。2026年にはディーエスエム フィルメニッヒのマスター パフューマーへ任命されました。香りを通じて心の深いところに触れ、幸福感につながる感情的な結びつきを作りたいと語る調香師です。
発売時には、禁酒法時代のシカゴにあったスピークイージーや、夜通し流れるジャズを思い浮かべたという物語も語られました。現在の公式説明に残る中心は、鋭いペッパーをアップビートな音へ、柔らかな背景を簡潔で心地よい音へ重ねること。街の歴史を再現するのではなく、テンポの違う二つの音でシカゴの表情を見せます。
香りの詳細分析
公式が挙げるのは、ピンクペッパー、クローブ、シダー、アルデヒド、グラース産の永遠のローズ・アブソリュート、ムスクです。トップ、ミドル、ラストの三段階ではなく、作品の核となる六つの素材が並ぶキーノート型です。出る順番を決めつけず、それぞれがどのような質感を作るかを見ると理解しやすくなります。
ピンクペッパーの印象は、明るく鋭い辛さ。そこへクローブの乾いた温かさが重なります。肌では、細かなペッパーがローズの輪郭を切るように感じる、冷たく発泡するような入り口という声があります。
アルデヒドは、白い光やきらめきのような明るさを添えます。その下には、甘さの少ない乾いたシダーが感じられます。
グラース産の永遠のローズ・アブソリュートが花の厚みを作り、ムスクは粉っぽく柔らかな肌の香りを加えます。肌では、最初にピンクペッパー、クローブ、アルデヒドの明るい刺激が見え、次第にローズが濃くなり、後半はシダーとムスクの穏やかな余韻へ落ち着くという声があります。最も個性的なのは、ローズの花びらとピンクペッパーの実が、似た名前を持ちながら甘さと辛さに分かれるところです。
他の香水との比較・ポジショニング
同じル ラボのローズ 31とは、ローズにスパイス、シダー、ムスクを重ね、甘い花だけにしない点が共通します。ローズ 31はクミンを含む、乾いて土っぽいスパイスが中心です。ベ ローズ 26ではピンクペッパーとアルデヒドが前へ出て、冷たく明るいきらめきを作ります。土や木の乾きを深く楽しむならローズ 31。明るいペッパーとローズが弾む感覚を選ぶなら、ベ ローズ 26が候補です。
ル ラボのムスク 25とは、アルデヒドとムスクを含み、シティ エクスクルーシブに属するところが重なります。ムスク 25は、ベチバー、アンバーグリス、ビーガンのシベットで、白さと暗さの対照を見せる香りです。ベ ローズ 26は、ピンクペッパー、クローブ、ローズで、速い音と柔らかな音の対照を作ります。ムスクそのものの明暗を楽しむか、ローズとスパイスのリズムを楽しむかが選び分けの目安です。
購入ガイド・価格・おすすめ度
ベ ローズ 26の香水は、オード パルファム一種類です。1.5 ml、15 ml、50 ml、100 mlは容量の違いで、濃度違いの別バージョンではありません。日本公式価格は、1.5 mlが1,760円、15 mlが22,990円、50 mlが52,250円、100 mlが76,560円です。価格や在庫は変わるため、購入時には公式サイトで最新情報を確認してください。
シカゴのラボでは通年販売されています。それ以外の地域では、サンプルは毎年8月と9月、フルサイズは9月にオンラインで購入できます。2026年の日本公式ページでは、フルサイズの販売期間は9月1日から30日までです。50 mlと100 mlはオンラインで通年リフィルでき、対応するラボでは50 ml、100 ml、500 mlのリフィルを通年受け付けています。
初めてなら1.5 mlで、ペッパーの強さとローズの出方を肌で確かめるのが現実的です。少量を持ち歩くなら15 ml。リフィルを利用しながら長く使うなら50 mlか100 mlが候補になります。
透明な円筒形ボトルには、銀色の円筒キャップとタイプライター風の白いラベルが付きます。ラベルには香水名、容量、オード パルファムのほか、調合都市、調合日、購入者名を書く欄があります。作品ごとに装飾を変えず、共通の実験室のような器へ街の香りを入れる簡潔なデザインです。
甘いローズより、細かなスパイス、冷たい明るさ、乾いた木を含むローズを探している人に向きます。ピンクペッパーやクローブを強く感じる場合があるため、試香紙だけで決めず、少量を肌につけて後半のムスクまで確かめると選びやすくなります。
実際の使用感・シーン・評判
まず合わせやすいのは春と秋です。アルデヒドとピンクペッパーの明るさ、ローズとクローブの温かさをどちらも感じやすいでしょう。夏なら、暑さが落ち着く夕方から夜に少量で試します。高温時はクローブと濃いローズを強く感じる可能性があります。
明るい昼の外出、夕方の食事、静かなジャズバーなどに合わせやすい香りです。白やネイビーのシャツ、薄手のジャケット、明るい色のニットなど、線がきれいで装飾を抑えた服装になじみます。ローズだから女性的、ペッパーだから男性的と分けず、甘さを抑えた花とスパイスのバランスで選べます。
持続は、短く感じる人から長く残る人まで幅があります。広がりも、かなり強いという声と、後半は肌に近いという声に分かれます。オフィスや交通機関など人との距離が近い場所では、最初は1プッシュから。すぐにつけ足さず、数時間かけてローズの濃さとムスクの残り方を見ます。
涼しい朝のローズのように感じる人もいれば、最初のスパイスをかなり強く感じる人もいます。甘さを抑えた花と、冷たく細かなペッパー。その両方が自分の肌でどのような比率になるかを確かめることが、この香りを選ぶときの大切な基準になります。


