21 サードタイムに吹く風
オゾンとジュニパーの冷たさから、ホワイトムスクのやわらかさへ。休むか出かけるかをまだ決めなくていい、土曜夕方のオイル香水です。
#476 · 2026-09-07
香水の基本情報と第一印象
ザ・パフュームオイルファクトリーの21 サードタイムに吹く風は、8 mlのロールオン式パフュームオイルです。アルコールと水を使わず、首筋や手首へ直接塗って使います。日本の公式価格は税込7,260円です。
この香りの舞台は、土曜日の夕方。金曜日の仕事終わりの華やかな解放感でも、日曜日の夕方に感じる寂しさでもありません。一人でも誰かと一緒でもよく、家で休んでも、街へ出てもいい。まだ予定を決めなくていい、中立の時間が主題です。
最初に感じやすいのは、アンバーグリスのほのかな温かさと、フレッシュオゾンノートの明るい空気感。そこへジュニパーベリーの冷たくドライな緑が入り、最後はホワイトムスクの清潔でやわらかな香りが近くに残ります。涼しさとほのかな温かさの両方があり、甘さや重さは控えめです。
調香師・ブランドの背景と制作秘話
21 サードタイムに吹く風の調香師は公表されていません。背景を知る手がかりは、ブランドが公開している物語と、香りの構造です。
ザ・パフュームオイルファクトリーは2012年に設立され、2016年に銀座本店を開きました。パフュームオイルを専門とし、アルコールと水を使わず、手作業で調合・製造しています。スプレーで空間へ大きく広げるのではなく、塗った人のそばで穏やかに香るのが特徴です。
ブランドの言葉は「名も無き一日を、香りで彩りたい。」です。オリジナルの31種類は、1か月にあるさまざまな気分や場面で使い分けられるように作られました。21は人気順や濃さの番号ではなく、土曜日の夕方という一つの気分を受け持つ番号です。
2026年2月、従来のThe Originalはthe STORIESへ名称が変わりました。旧名The Original No.21 Amber grisは、the STORIES 21「サードタイムに吹く風」へ。番号と素材名で選ぶ入り口から、物語の題と文章を読んで選ぶ形へ移りました。名前は変わっても、21番の香り自体は変更されていません。
香りの詳細分析
香りは、トップ、ミドル、ベースの三段階で紹介されています。トップはアンバーグリスとフレッシュオゾンノート。アンバーグリスのやわらかさに空気が通り、重いアンバーではなく、明るく軽い入口になります。ここでいうアンバーグリスはノート名であり、天然素材か合成による再現か、具体的な配合は公表されていません。
ミドルはジュニパーベリー。冷たくドライな緑の芳香が、トップの空気感に細い輪郭を与えます。甘さだけに傾かず、すっと落ち着く中盤です。
ベースはヒマラヤカンショウとホワイトムスク。ホワイトムスクの清潔なやわらかさに、ヒマラヤカンショウの乾いた土や根を思わせる深さが加わります。空気を含むアンバーグリスから、ジュニパーの冷たい緑を通り、白いムスクと乾いた根の気配へ。全体の温度は涼しさとほのかな温かさの中間です。
肌の近くでほのかに香ると感じる人が多い一方で、持続の感じ方には幅があります。朝から長く残ったという声もあれば、昼に塗り直す人もいます。強さを固定の時間で判断せず、最初は少量を塗り、自分の肌でどう残るかを確かめると、近距離のよさがつかみやすくなります。
他の香水との比較・ポジショニング
ル ラボのアナザー 13は、アンブロキシドを中心にしたムスクを思わせる構成です。21 サードタイムに吹く風とは、軽く透明感のあるムスク系という方向が重なります。21番にはオゾンとジュニパーベリーがあり、より涼しく、乾いた緑を感じます。
メゾン フランシス クルジャンのジェントル フルイディティ シルバー エディション オード パルファムは、ジュニパーベリーとムスクが共通します。こちらはナツメグとアンバーウッズが主役で、コリアンダーも入るドライなスパイス感が中心です。21番は、オゾンの空気感とやわらかなホワイトムスクが目立ちます。
同じブランドのプレミアム04 アンバーグリス、チャンパカ、サンダルウッドも、トップにアンバーグリスを置く8 mlのパフュームオイルです。プレミアム04は柑橘、チャンパカ、ジャスミン、ティーローズから、サンダルウッドやウードへ進みます。花の蜜を思わせる甘さと重い木があり、21番より華やかで厚みのある構成です。
ノートに重なる部分はありますが、各ブランドが互いを似た香りとして紹介しているわけではありません。
購入ガイド・価格・おすすめ度
現行の日本公式商品は8 mlで、価格は税込7,260円です。透明な細身ボトルにオイルが入り、金色系のキャップが付いています。ロールオン式のため、スプレーのように空間へ噴霧せず、塗る場所と量を調整しやすい形です。
小型でポーチへ入れやすいという声があり、持ち歩きに適します。家で使う分は、ブランドの専用香水瓶「the PERFUME GLASS」に移し替える楽しみ方もあります。エジプトの職人が手作りする8 mlの瓶で、ロールオン部分を外してオイルを移し、スティックでつけられます。
スプレー香水のような強い拡散より、自分と近くにいる人が気づく距離感を求める人に合います。オゾンの空気感、ジュニパーの冷たい緑、甘すぎないムスクを肌で試し、後半のヒマラヤカンショウがどう残るかを見てから選ぶとよいでしょう。価格、容量、在庫は変更されることがあるため、購入時には公式サイトで最新情報を確かめてください。
甘く華やかな香りより、涼しい空気と乾いた緑、清潔な肌の印象を求める人に向きます。店頭では、つけたてだけでなく、ムスクが近くに残るころまで試すと判断しやすくなります。
the HAND 21 Ambergris -Light-は、同じ公式ノート構造を持つ30 mlのハンドパフュームです。手の保湿と香りを一緒に楽しむ別用途の製品で、8 mlの香水の濃度違いではありません。
実際の使用感・シーン・評判
まず合わせたいのは、秋の涼しい夕方です。ジュニパーの冷たさと、アンバーグリスやムスクのやわらかさを両方感じやすいでしょう。次の候補は冬の室内。春や夏に使うなら、空調のある部屋や、気温が下がった夕方に少量から試すのが向いています。真夏の広い屋外で存在感を出したい日には、淡い香りが物足りなく感じられるかもしれません。
土曜日の夕方に家でゆっくりするとき、近所への外出、食事、仕事、電車移動など、周囲へ強く広げたくない場面に合わせやすい香りです。薄手のニット、シャツ、落ち着いた色のカジュアルなど、きちんとしすぎず、部屋着にも寄りすぎない服装と自然になじみます。
香りの強さと持続は、肌と塗布量によって印象が分かれます。近づいて初めてわかるほどほのかで、同ブランドの他番号より弱いと感じる人がいる一方、朝から長く残ったと感じる人もいます。弱く感じたときも一度に増やしすぎず、時間を置いて少しずつ足す。土曜夕方の余白のような、近い距離で静かに楽しむ使い方が、この香りによく合います。


