オ・パフメ テ インペリアル

2017年にブルガリ ホテルズ&リゾーツのために作られ、2026年に一般化されたオードトワレです。イタリアン・シトラスの光とスリランカ産ブラックティーの乾きを、近距離のシトラスムスクへ整えています。

#446 · 2026-08-08

Bvlgari / Eau Parfumée Thé Impérial

香水の基本情報と第一印象

Bvlgari(ブルガリ)のEau Parfumée Thé Impérial(オ・パフメ テ インペリアル)は、2026年にオ パフメ コレクションへ加わったシトラスムスクのオードトワレです。新作として一般に出たのは2026年ですが、香りそのものの始まりは2017年。ブルガリ ホテルズ&リゾーツのゲストを迎えるシグネチャーとして作られ、約9年間、ホテルの空間と宿泊体験に結びついていました。

第一印象は、商品名から想像する濃く暗いブラックティーとは少し違います。果皮をひねった瞬間の明るいシトラス、砂糖を入れない乾いた茶葉、清潔なリネンを思わせる柔らかなムスク。色はオレンジから淡いゴールド、温度は朝の明るい室内です。香りで場を支配するのではなく、磨かれたロビーの空気を肌の近くへ持ってくるような距離があります。

香水の濃度はEDTのみで、75mLと150mLを展開します。「Eau Parfumée」はコレクション名で、EDPという意味ではありません。過去に一般販売された香水の復刻ではなく、ホテルでしか体験できなかった香りを、初めてボトルで持ち帰れる形にした作品です。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

調香師はJacques Cavallier-Belletrud(ジャック・キャヴァリエ=ベルトリュード)。フランスのGrasse(グラース)で香料に関わる家系に育ち、Firmenich(フィルメニッヒ)で活動した後、2012年からLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のマスター調香師を務めています。L'Eau d'Issey(ロー ドゥ イッセイ)やAcqua di Giò(アクア ディ ジオ)など、透明感と素材の輪郭を扱う作品で知られます。

本作で求められたのは、個人の肌だけでなく、ホテルへ到着したゲストを迎える空間にも成立することでした。シトラスの光、ブラックティーの乾き、ムスキーな肌なじみを簡潔に組み、ロビーでも身体でも強すぎない距離へ整えています。

ブルガリはSotirio Bulgari(ソティリオ・ブルガリ)が1884年にローマで創業した宝飾メゾンです。茶香水の歴史は、1992年のテ ヴェールまでさかのぼります。テ ヴェールは重要顧客への贈り物、テ インペリアルはホテルのゲストのための香り。どちらも販売より先にホスピタリティから始まりました。

一般発売の時期には、ブルガリ ホテル 東京のラウンジで、テ インペリアルに着想を得たBiancomangiare(ビアンコマンジャーレ)がプリマヴェーラ・アフタヌーンティーの一品になりました。監修はNiko Romito(ニコ・ロミート)。ホテルの香りが街へ開かれる一方で、香りの故郷であるホテルでは、今度はアーモンドを使った白いデザートとして味覚へ翻訳されたのです。

香りの詳細分析

香りはトップ、ミドル、ベースの3段ではなく、Italian Citrus(イタリアン・シトラス)とSri Lanka Black Tea SFE Extract(スリランカ産ブラックティーSFEエキス)を並列に置くキーノート型です。二つが別々に登場するというより、最初から同じ画面にあり、時間とともに見える比率が変わります。

イタリアン・シトラスは、公式では個別の果実名に分けられていません。肌ではレモン、マンダリン、ベルガモットを思わせる光と、果皮のほろ苦さが先に立ちます。果汁の甘さより、皮を指でひねった瞬間に飛ぶ香り。最初の15〜30分に明るさを広げ、その後は茶葉を照らす背景へ回ります。

スリランカ産ブラックティーは、砂糖やミルクを含むグルマンな紅茶ではありません。乾いた葉、薄い湯気、わずかなタンニンと渋み、木質の陰影として現れます。SFEはSupercritical Fluid Extraction(スーパークリティカル フルイド エクストラクション)の略。茶葉を濃く塗るのではなく、シトラスとムスクの間へ乾いた奥行きを作ります。

終盤は、公式のシトラスムスクという分類が分かりやすくなります。清潔なリネン、淡い石けん、カシミアを思わせる柔らかな残香が肌へ近づき、茶葉は薄い影として残ります。紅茶がはっきり見える人と、シトラスとムスクが中心に感じられる人がいることも、この香りの評価を分けます。

他の香水との比較・ポジショニング

同じブルガリのEau Parfumée Thé Vert(オ パフメ テ ヴェール)は、インド産グリーンティー、ネロリ、ベルガモットの青く植物的な光が中心です。テ インペリアルはブラックティーの乾きとムスクを加え、緑の屋外より、オレンジとゴールドのホテルラウンジへ向かいます。

Le Labo(ル ラボ)のThé Noir 29(テ ノワール 29)とは、ブラックティー、シトラス、ムスクの側面が共通します。ただしテ ノワール 29はフィグ、ベイリーフ、タバコ、干し草、シダーを伴う暗くスモーキーな茶。本作は煙と甘さを抑え、朝の明るさと清潔な距離を選びます。

Nishane(ニシャネ)のWulong Chá(ウーロン チャ)は、明るい柑橘と茶を、果実感、拡散、持続の強さで見せる作品です。テ インペリアルは軽く乾き、周囲へ広げるより自分の近くへ置きやすい。強く長い柑橘茶を選ぶか、ホテルの空気を静かに着るかが分かれ目です。

購入ガイド・価格・おすすめ度

日本公式価格は75mLが21,340円、150mLが32,780円です。容量が違っても濃度と処方は同じ。初めてなら75mLを肌で試し、日常的に多めに使うなら1mLあたりの価格が低い150mLを検討できます。価格、在庫、販売状況は変わるため、購入時には公式サイトか正規取扱店で最新表示を確認してください。

300mLのボディローションは12,210円、ボディシャワージェルは10,670円。公式はローションとEDTの併用で香りをより長く楽しめると案内しています。持続を補いたい場合、別の香水を重ねる前に、同じテ インペリアルのバスラインを試す選択肢があります。

ボトルは古代ローマの柱を思わせる縦長の輪郭で、内側から照らされたようなオレンジ色。キャップのBVLGARI BVLGARIロゴは古代ローマのコイン、金の貫入は中国の青磁を思わせます。ラベルの植物画はフランス人植物学者による手描き。ローマの建築、中国の陶磁、スリランカの茶、イタリアの柑橘が一つのオブジェに集まっています。

実際の使用感・シーン・評判

春や夏の日中に最も合わせやすく、初秋の明るい日にも使えます。オフィス、移動日、旅行、ホテル、静かなカフェ、美術館、昼の会食など、香りが空間を支配してはいけない場面が得意です。白シャツ、淡いベージュ、グレー、リネン、薄手のジャケットといった、明るく線の少ない服装にもなじみます。

最初の15〜30分はシトラスが中程度に広がり、その後は腕一本分ほどの近距離へ。肌上の持続は3時間から8時間以上まで評価が割れ、中心的な目安は4〜6時間です。衣服では、シトラスが退いた後の茶葉とムスクがより長く残るという声があります。

肯定的な評価は、高級ホテルのロビー、清潔な石けん、シトラスを添えた薄いブラックティー、職場で使いやすいという方向に集まります。一方で、紅茶が期待より弱い、主役はレモンとムスク、価格に対して持続が短いという声もあります。同じ控えめな距離が、洗練された長所にも、物足りなさにもなります。

まず肌へ2〜3プッシュ。30分後にブラックティーがどれだけ見えるか、4時間後にムスクの距離が心地よいかを確かめます。濃い紅茶を探すのではなく、ホテルの記憶を明るい茶とシトラスで日常へ移す香りとして試すと、この作品を選ぶ理由が見えやすくなります。

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