チェジュ
ワンデイ「チェジュ」は、韓国産ユズとトマトリーフで、済州島の明るい空気を描くシトラスグリーンです。甘さを抑えた柑橘に葉の青さが重なり、リゾート感よりも洗い立ての緑を感じさせます。
#344 · 2026-04-28
香水の基本情報と第一印象
**香水の基本情報と第一印象**
「Jeju(チェジュ)」は、香港発の独立系ブランドであるONE DAY(ワンデイ)が手がける、韓国の済州島(チェジュド)をテーマにしたユニセックスなシトラス・アロマティックの香りです。ワンデイが展開する、世界各都市の空気感を表現するコレクションから生まれました。
済州島といえば、観光地としても有名な甘い「みかん(タンジェリン)」の島というイメージが強くあります。一方でJejuの公式ノートは、タンジェリンではなく、韓国産ユズ、グレープフルーツ、バジル、ビターオレンジを中心に組まれています。果皮のほろ苦さと植物の青さを、甘さに頼らず描いた香りに仕上がっており、清潔で青い空気を自分の周囲50cm程度にまとわせるような距離感で、春夏を中心とした明るい季節の日常使いにぴったりです。
調香師・ブランドの背景と制作秘話
**調香師・ブランドの背景と制作秘話**
ONE DAY(ワンデイ)は、2017年に香港でマイケル・ウォン(Michael Wong)が単独創業したマイクロニッチハウスです。ブランド名には「いつか(One Day)夢は叶う」という思いと、嗅覚を通して人生を体験し、自分自身の香りの日記を書き留めてほしいという願いが込められています。「時間を瓶に閉じ込めたい」という哲学を持ち、現代的な感性で、実際に見た景色や空気を細かく描き込むような香り作りを得意としています。
調香師自身が春の済州島を訪れた際、バスを降りてビーチへ向かう道すがらに感じた、柚子とグレープフルーツが風に乗り、茶畑の香りと混じり合った至福の瞬間から着想を得ています。トップノートには「韓国産ユズ」と明記し、その土地らしさへの敬意を示しています。彼は「人はボトルの可愛さや豪華さで香水を買うこともあるが、私は香りそのものに集中してほしい」と語っています。
香りの詳細分析
**香りの詳細分析**
公式で「シトラス・アロマティック」と分類されるこの香りは、海辺の青と、島に実る柑橘の黄色が重なり合うようなイメージで語られています。ほろ苦いシトラスと、リアルな青々しさが美しくブレンドされています。
**トップノート** スプレーした瞬間に弾けるのは、韓国産ユズ、グレープフルーツ、バジル、ビターオレンジです。圧倒的にフレッシュでほろ苦く、果肉の甘さではなく、果皮の渋みや酸味が強調されています。バジルの清涼感が早い段階で爽快な青みへと繋がり、柚子の皮を爪でひっかいた瞬間、苦みを含んだ香りが三日月のような跡から立ちのぼるような鮮烈さがあります。
**ミドルノート** 鮮烈なシトラスが落ち着くと、トマトリーフ、グリーンアコード、オレンジブロッサムが現れます。色彩が黄色から深い緑へ変化するように、土や葉の気配を含んだ透明感のあるフローラルが広がります。オレンジブロッサムが鋭い角を丸め、立体的な厚みを生み出し、風が果樹園の草や葉をなでていくような空気を作ります。
**ラストノート** 肌で約10時間という長い持続を見せた後、モス、ムスク、シダーウッドが現れます。土っぽさを含んだドライなウッディに、肌になじむなめらかな温かみが重なり、「白シャツの清潔感に苔の影を一枚かぶせたようなシトラス・ムスク」が心地よく残ります。フルーティーさが陥りがちな水っぽさを回避し、苦味や青さを最後まで残している点が際立ちます。
他の香水との比較・ポジショニング
**他の香水との比較・ポジショニング**
シトラスグリーンの名香たちと比べると、Jeju(チェジュ)ならではの個性が明確になります。
例えば、ヒーリーの「ノート・ド・ユズ」も柚子が主役ですが、あちらが海塩や柚子湯のような温かみを持つのに対し、Jeju(チェジュ)はトマトリーフやバジルによる「植物的な庭感や大地感」が強く、肌の上でシャープに持続します。 また、エルメスの「ナイルの庭」とは青々しい野菜のようなグリーン感を共有しつつも、Jeju(チェジュ)は柚子の鋭い酸味とモスのドライなウッディさへ向かい、より乾いた島の風を感じさせます。 ニシャネの「ウーロンチャ」のような華やかなリゾート感とも異なり、甘さを極力抑えた引き締まった描写です。自然本来の苦みや青みを含んだ、大人の洗練されたシトラス・グリーンを探している方に最適です。
購入ガイド・価格・おすすめ度
**記憶に残るエピソードとボトルの美学**
この作品には、わかりやすい済州島のイメージに寄りかからない、調香師の美学が光っています。甘いみかんそのものではなく、韓国産の柚子やグリーンノートを通して土地の空気に向き合うことで、洗練された奥行きを生み出しています。
また、素白のミニマルなフロステッドガラスボトルも特徴的です。極限まで視覚情報を削ぎ落とし、「使う人自身が自由に解釈し、想像する余地を残したい」という意図が込められています。ラベルには「JEJU 1734」と薄くエンボス刻印されており、愛好家の間では、これが香港から済州島までの距離(1734km)を示す暗号ではないかと囁かれています。
実際の使用感・シーン・評判
**実際の使用感・シーン・おすすめの使い方**
Jeju(チェジュ)は、春から夏にかけての昼間に特に使いやすい香りです。高温多湿な日や雨上がり、明るい曇りの日には、ユズの酸味とトマトリーフが空気を浄化するような清涼感をもたらします。オフィスなどの日常使いから、週末のブランチ、休日のピクニック、海辺へのドライブまで幅広く活躍します。
シトラス系としてはかなり長めで、肌の上で約10時間持続します。トップの軽やかさが飛んだ後は、高級なボディローションのように肌に馴染むため、白シャツやリネン素材など、リラックスしつつも身だしなみが整った服装によく合います。
他の香水と重ねるのもおすすめで、ウッディ・レザー系の香水に重ねて重苦しさを中和したり、ムスク系に重ねて清潔感を強めたりと、自分だけのアレンジも楽しめます。甘さを抑えた大人の清潔感と、自然の陰影をまといたい方にぜひ試していただきたい香りです。


