ヴラ ヴラ ヴルーム

ペンハリガン「ヴラ ヴラ ヴルーム」は、果汁のような明るい入口から、レザーと白花の意外な質感へ進むエネルギッシュな香りです。遊び心のある見た目に対して、肌では甘さと人工的な革のニュアンスがはっきり表情を変えます。

#315 · 2026-03-30

Penhaligon's / Vra Vra Vroom

香水の基本情報と第一印象

Penhaligon's(ペンハリガン)が展開する「Potions & Remedies(処方薬シリーズ)」から発売された、活力と前進する力をテーマにした香りが「Vra Vra Vroom(ヴラ ヴラ ヴルーム)」です。

ペンハリガンといえば、格式高くクラシックな英国の香りというイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、本作は非常に現代的でスピード感のある香り。なんと車の「エンジン音」を意味する擬音語が名前になっています。フルーツの甘さが弾けた後、まるでインダストリアルな人工レザーや、ほんのりガソリンを思わせるような力強い香りが顔を出す、ユニセックスで使えるエネルギッシュな作品となっています。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

調香を手掛けたのは、天才調香師Quentin Bisch(クエンティン・ビッシュ)。彼はもともと演劇と音楽を学び、劇団を主宰する演出家として活動していたというユニークな経歴の持ち主です。香りを「動的な演劇的パフォーマンス」として捉える彼らしく、大胆なコントラストや意外性のある素材の組み合わせが持ち味です。本作では、彼自身が取り憑かれていると語る「金木犀」の明るくジューシーな側面に焦点を当てています。

ブランドであるPenhaligon's(ペンハリガン)は1870年にロンドンで創業され、英国王室御用達の歴史を持ちながらも常にユーモアと物語性を大切にしています。本作が含まれる処方薬シリーズは、創業者が秘密の研究室に残した「忘れられた処方箋」を現代に蘇らせたというワクワクする設定のコレクション。香りのベースには100%再生可能な素材「Ambrofix」が使われ、クラシックな世界観の中に最新の科学技術が隠されています。

香りの詳細分析

公式では「レザーフローラル」と分類されており、瞬発的なエネルギー、弾ける果実、クリーンなレザーが印象的です。

**トップノート**は、ベルガモット、マンダリン、アプリコット、クラリセージ。スプレーした瞬間、インパクトのあるみずみずしい果実感が弾け、熟したアプリコットに噛みつき果汁が溢れるようなジューシーな質感があります。クラリセージのハーバルな清涼感が、その甘さを知的に引き締めます。

**ミドルノート**では、オスマンサス(金木犀)、マグノリア、ローズが登場。フルーツの爽やかさが落ち着き、オスマンサスとマグノリアのデュエットが主役として表れます。洗練されたフローラルに蜂蜜のような温かみが加わり、ハチミツに包まれたアプリコットがスエードの上に乗っているような贅沢な香りへと変化します。

**ラストノート**は、ジョージーウッド、レザー、アンブロフィックス。果物の甘さが奥に引っ込むと、使い込まれたヴィンテージのレーシンググローブや高級カシミアの手袋を思わせる、非常にソフトで滑らかなクリーンなレザーが立ち上がります。

トップのみずみずしさからベースの無骨なレザーへとガラリと表情を変える瞬間が最大の魅力です。

他の香水との比較・ポジショニング

お茶のニュアンスや金木犀、レザーの組み合わせを持つHermès(エルメス)のOsmanthe Yunnan(オスマンサス・ユンナン)と比較すると、エルメスが透明感や静寂を重視しているのに対し、本作は「スピード感」と「力強い骨格」を重視し、より動的でフルーティーな甘さが弾けます。

また、同じ調香師の作品であるDries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)のFleur du Mal(フルール・ドゥ・マル)がより官能的でパウダリーな質感を持つのに対し、本作は柑橘が弾けることでより現代的でクリーンなレザーの切れ味を持っています。日常使いで爽快感や活力を得たい方にぴったりのポジショニングです。

購入ガイド・価格・おすすめ度

本作はオードパルファム(EDP)のみの展開ですが、近年サイズ展開が拡充されています。堂々たるアポセカリー風のメインサイズである100mlボトルのほか、持ち運びや初めて試す方に嬉しい50mlボトルや10mlのトラベルサイズも追加され、手に取りやすくなりました。

初めて試す方は、まずは10mlサイズでご自身の肌の上でのフルーティさとレザーのバランスを確認することをおすすめします。日常的に活力を得たい方は、インテリアとしても美しい100mlボトルをメインボトルとして迎えるのが良いでしょう。クラシックなフローラルだけでは物足りない、現代的なスピード感や活力を求めている方にぴったりの香りです。

実際の使用感・シーン・評判

爽やかな風が吹く春や秋に最適な香りです。金木犀やアプリコットの香りが、春の生命力や秋のノスタルジーと見事にシンクロします。重要な会議やプレゼン、日中の仕事前など、内なるエンジンに火をつけたい時にぴったりで、厚手のニットやレザージャケットと相性抜群です。

最初の2時間は活気づけるように香り、のちに肌に密着して優しく香ります。ユーザーからは「超高級シャンプーのような匂いで中毒性がある」とその格調高さを絶賛する声が多くあります。一方で、肌の化学反応によってレザーや果実の出方が変わるため、事前のテストをおすすめします。柑橘系の香水を下敷きにしてレイヤリングし、トップのみずみずしさを長く保たせるという上級テクニックも愛好家の間で楽しまれています。

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