ヴァイオレット 30

ル ラボ「ヴァイオレット 30」は、白いスミレをホワイトティー、アルデヒド、インセンス、ウッドで透明に仕立てたグリーンフローラルです。従来のスミレの甘い粉感を抑え、消えては現れるような知的なスキンセントとして残ります。

#296 · 2026-03-11

Le Labo / VIOLETTE 30

香水の基本情報と第一印象

2006年にニューヨークのノリータ地区で誕生したLe Labo(ル ラボ)が手掛ける、2026年発売の新作「VIOLETTE 30(ヴァイオレット 30)」。本作は「白いスミレ」をテーマにしたグリーンフローラルの香りです。

従来のスミレが持つパウダリーで甘いイメージを完全に覆し、非常にクリーンで知的な、性別を問わないスキンセントとして設計されています。オフィスや美術館、カフェなど、静かで親密な空間に寄り添う、密着型の穏やかな香りが特徴です。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

調香師は公式には非公開とされており、特定のスター調香師の名前に依存しないブランドの方針が貫かれています。プロジェクトはグローバルブランドプレジデントのデボラ・ロイヤー氏が主導し、本作を「単一の標本の中にある、定義できないコントラストへの頌歌」と表現しました。

インスピレーションの源は、ヴィクトリア朝時代の花言葉です。スミレが象徴する「謙虚さ」と「燃えるような情熱」という矛盾に着目し、あえて日陰を好む控えめな花でありながら北東部で唯一芳香を持つ「白いスミレ」を主役に選定しました。これが、クリスタルのような透明感の秘密となっています。

香りの詳細分析

全体を通して植物的、アーシー、クリーンな印象を与えます。スプレーした直後のトップノートは、ホワイトティーの収斂性とアルデヒドの明るさがスミレの甘さを抑制し、シャープで透明感のあるフローラルな幕開けとなります。「新しくアイロンをかけたシャツ」のようにクリーンです。

やがて15分ほど経つと、インセンス、クミン、サフランが顔を出し、ドライでスモーキーなミドルノートへ。スパイスが抑制的に働き、体温のような暖かさを添えながら肌に溶け込んでいきます。

2時間以降のラストノートでは、シダーウッドやガイアックウッドが乾燥した木の骨格を作り、洗練されたクリーミーでアーシーなスキンセントへと進化します。パウダリーな甘さを排除し、最初のみずみずしさが徐々に肌に馴染んでいく穏やかな展開が楽しめます。

他の香水との比較・ポジショニング

肌っぽさを持つスキンセントという点では、Glossier Youと共通する魅力があります。しかし、あちらがピンクペッパーなどを効かせた甘くムスキーなアプローチであるのに対し、VIOLETTE 30はホワイトティーやシダーにより、さらにグリーンでオゾニックな静けさを持っています。

また、同じル ラボのSantal 33とはドライダウンの美しいウッディのDNAを共有していますが、Santal 33がレザーとカルダモンで力強く主張するのに対し、VIOLETTE 30は柔らかく抑制的です。パーソナルな空間だけでそっと香りを楽しみたい方に最適です。

購入ガイド・価格・おすすめ度

オードパルファム単一での展開となる完全新作で、肌に寄り添うスキンセントとして綿密に設計されています。初めて試す方やオフィス使いを考えている方にも、この絶妙な濃度が最も美しく機能します。

ボトルはクリアなガラスとマットなシルバートーンの金属製キャップを組み合わせたインダストリアルな佇まい。15mlのトラベルサイズからラボ用の特大ボトルまで幅広いサイズ展開があり、ラボ併設店舗では空ボトルを持参するとリフィル充填可能なサステナブルな制度も利用できます。

実際の使用感・シーン・評判

「春〜初夏」にかけて最も美しく香りますが、ベースのウッドが温かみを持つため通年での使用も可能です。ただし、プロジェクション(拡散性)は非常に弱く、控えめで親密な設計となっています。

香気成分「イオノン」が人間の嗅覚受容体を一時的に麻痺させるため、香りが消えたと思っても、動いた瞬間に再びふわりと香る不思議な体験ができます。Tシャツとデニムのミニマルファッションや上質な洋服によく似合い、Another 13やSantal 33とのレイヤリングのベースとしても極めて優秀です。

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