ヴェルヴェーヌ デザンド エ バジリック ドゥリュ

ビュリー「ヴェルヴェーヌ デザンド エ バジリック ドゥリュ」は、水性香水らしい軽さでヴァーベナとバジルの青さを描く香りです。透明な朝露のようなハーバル感があり、アルコールの鋭さなしに植物の涼しさが残ります。

#127 · 2025-09-23

Officine Universelle Buly / Verveine des Andes et Basilic d'Ulu

香水の基本情報と第一印象

Officine Universelle Buly(オフィシーヌ ユニヴェルセル ビュリー)のVerveine des Andes et Basilic d'Ulu(ヴェルヴェーヌ デザンド エ バジリック ドゥリュ)は、レ ジャルダン フランセ コレクションのEau Triple(オー トリプル)です。公式では、バーベナ、バジルの香りとして紹介され、ヴァーベナのレモンのような爽やかさ、黒海産バジル、Cedar(シダー)、Mint(ミント)、White Musk(ホワイトムスク)が語られます。

第一印象は、香水らしいアルコールの立ち上がりではなく、葉の水分です。レモン果汁の甘酸っぱさではなく、レモンバーベナの葉を指でこすった時の青い酸味。そこへバジルの少しぴりっとしたハーブ感が入り、朝露の残る菜園の空気に近づきます。今回の興味喚起フレーズは、ヴァーベナとバジルがほどく朝露のグリーン。香りで主張するより、肌の上を涼しく整えるタイプです。

調香師・ブランドの背景と制作秘話

ビュリーは、1803年のパリを起点に、現代に復活したアポセカリー的なブランドです。香水だけでなく、ボトル、カリグラフィー、ラベル、ギフト体験まで含めて、古い薬局と現代の美意識をつなぎます。ヴェルヴェーヌ デザンド エ バジリック ドゥリュも、香料名だけでなく、植物の産地と標本のような響きまで含めて作品になっています。

レ ジャルダン フランセは、18〜19世紀の植物学者の情熱、種子と苗のアンティークコレクション、朝露に包まれた菜園や果樹園から着想されたシリーズです。公式説明には、野菜の香りは香水界で忘れられていないだろうか、という問いがあります。この香りは、花束ではなく、食べられる植物や香草を香水の中心に戻す試みとして読むと面白くなります。

香りの詳細分析

トップは、ヴァーベナのレモンのような酸味です。レモンそのものより、葉の裏にある青さが前に出ます。アルコール不使用のため、最初の拡散は穏やかで、香りの輪郭も柔らかい。朝、シャワーの後に白いシャツへ合わせると、香水というより身支度の清潔感として立ちます。

ミドルでは、バジルとミントのグリーンが中心になります。バジルは料理のように強く香るのではなく、葉をちぎった時のすっきりした刺激。ミントは冷たさを足します。ここで香りは、シャンプーのような清潔感にも近づきますが、単なる石けんではなく、菜園の湿度が残っている点がビュリーらしいところです。

ベースは、シダーとホワイトムスク。シダーは重い木材ではなく、細い芯として香りを支えます。ホワイトムスクは粉っぽく、白い布のように肌の近くで残ります。持続は長くありません。けれど、その短さは欠点であると同時に、香りを重く残さない水性香水の性格でもあります。

他の香水との比較・ポジショニング

L'Occitane(ロクシタン)のVerbena(ヴァーベナ)と比べると、ビュリーはより控えめで、バジルやムスクの薄い膜があります。ロクシタンが明るいレモンバーベナを日差しの中で見せるなら、ビュリーは朝露の中で葉の輪郭をなでるような香りです。

Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)のBasil & Neroli(バジル アンド ネロリ)は、バジルをネロリの花っぽさへ寄せます。ビュリーは花よりも菜園です。バジル、ミント、ヴァーベナの青さを、水性処方のやわらかい膜で肌に置くため、香水らしい華やかさよりも生活の近さが出ます。

Hermès(エルメス)のLe Jardin de Monsieur Li(ル ジャルダン ドゥ ムッシュ リ)が庭園を抽象的に描くとすれば、ビュリーは植物名と産地を標本のように並べます。どちらも庭の香りですが、エルメスは詩、ビュリーは古い植物図鑑に近い印象です。

購入ガイド・価格・おすすめ度

公式では75mL、23,210円で確認できます。価格は時期や販売条件で変わるため、購入時は公式オンラインストアや直営店で最新情報を確認してください。ビュリーはカリグラフィーやパッケージの体験も含めて魅力があるブランドなので、自分用だけでなくギフトとして選びやすい一方、香りの持続だけで価格を判断すると高く感じる可能性があります。

おすすめしやすいのは、レモンバーベナ、バジル、ミント、清潔なムスク、軽いグリーンが好きな人です。逆に、強い拡散、長い持続、濃厚な香水らしさを求める人には物足りないかもしれません。香水が苦手な日、近距離だけで香らせたい日、寝る前に少し整えたい時にはかなり使いやすい一本です。

試香する時は、つけた瞬間の爽やかさだけでなく、30分後の弱まり方まで見てください。強く残る香水ではないので、香りが消えることを欠点と見るか、軽さと見るかで評価が変わります。肌や髪に使える水性処方という性格も含めて選ぶと、納得しやすくなります。

実際の使用感・シーン・評判

似合うのは、春夏の朝、白シャツ、在宅作業、清潔なオフィス、休日の散歩、寝香水です。湿度の高い日でも重くなりにくく、香りで周囲を囲い込まないため、公共の場でも扱いやすい。反面、夜の外出や強い印象を残したい場面では、控えめすぎる可能性があります。

評判では、さっぱりしている、万人に嫌われにくい、シャンプーのように清潔、夏に使いやすいという声があります。一方で、持続が短い、価格が高い、ロクシタンのヴァーベナでもよいのでは、という意見もあります。つまり、この香りの価値は強さではなく、処方、パッケージ、植物学的な物語、肌に近い清潔感の総合にあります。

ヴェルヴェーヌ デザンド エ バジリック ドゥリュの魅力は、香水の声量を下げたところにあります。ヴァーベナの青い酸味、バジルの葉、ミントの冷たさ、シダーの細い芯、ホワイトムスクの白い膜。ヴァーベナとバジルがほどく朝露のグリーンが、短く、静かに残ります。

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