バブル バス
メゾン マルジェラ「レプリカ バブル バス」は、泡風呂の清潔感にココナッツミルクとホワイトムスクの肌感を重ねた香りです。石けんのように澄んでいながら冷たくならず、湯気の残る浴室のような柔らかい距離感があります。
#105 · 2025-09-01
香水の基本情報と第一印象
Maison Margiela(メゾン マルジェラ)のREPLICA Bubble Bath(レプリカ バブル バス)は、2020年に登場したオードトワレです。レプリカシリーズらしく、ボトルラベルには香りの舞台としてBeverly Hills(ビバリーヒルズ)、2005年が記されています。
第一印象は、泡立つような清潔感です。ただし、ドライな洗剤系ではありません。ソープバブルの明るさに、フローラル、ココナッツミルク、ホワイトムスクが重なり、湯上がりの肌を白いタオルで包むような柔らかさがあります。今回の興味喚起フレーズは、泡とココナッツが包む湯上がりの記憶。この香りの清潔さと温度を同時に表す言葉です。
調香師・ブランドの背景と制作秘話
メゾン マルジェラのレプリカは、特定の場所と年代の記憶を香りで再現するコレクションです。アパレルのレプリカラインが、ヴィンテージ衣服を記録するように再現した思想を、香りの世界に移したシリーズと考えるとわかりやすいです。
調香師はViolaine Collas(ヴィオレーヌ コラス)。泡風呂の映画的なイメージや、自身がココナッツの香りのバブルバスに浸かった時の、繭に包まれるような感覚が着想として語られています。だからこの香りは、バスルーム用品の再現ではなく、緊張がほどけて、自分だけの時間に戻る感覚の再現です。
2021年にはAcademia del Perfume(アカデミア デル ペルフューム)でBest Niche Fragranceを受賞しています。清潔系の香りでありながら、泡、タオル、肌、映画的な記憶を重ねた構成が評価された作品として見ることができます。
香りの詳細分析
トップでは、Soap Bubbles Accord(ソープバブル アコード)、Bergamot Essence(ベルガモット エッセンス)、Pink Pepper Essence(ピンクペッパー エッセンス)が立ち上がります。ソープバブル アコードは、シトラス、アルデヒド、ロージーグリーン、微かなフルーティ感を組み合わせた創作アコード。泡の清潔感を、平面的な石けんではなく、弾ける空気として見せます。
ミドルでは、Lavender Flower Accord(ラベンダー フラワー アコード)、Rose Superessence(ローズ スーパーエッセンス)、Jasmine Absolute(ジャスミン アブソリュート)が中心になります。ラベンダーの落ち着き、ローズのフレッシュな生花感、ジャスミンの白いフローラルが、洗い立てのタオルのような柔らかさを作ります。
ベースでは、Patchouli Essence(パチョリ エッセンス)、Coconut Milk Accord(ココナッツミルク アコード)、White Musks(ホワイトムスク)が残ります。ここで香りは肌へ寄ります。ココナッツミルクはクリーミーで少し甘く、ホワイトムスクはセカンドスキンのようにやわらかい。パチョリは淡い陰影として、清潔感を軽すぎないものにしています。
他の香水との比較・ポジショニング
同じメゾン マルジェラのLazy Sunday Morning(レイジー サンデー モーニング)と比べると、どちらも清潔感をテーマにしています。ただ、レイジー サンデー モーニングがリネンと朝のベッドなら、レプリカ バブル バスは泡風呂と湯上がりの肌です。
Byredo(バイレード)のBlanche(ブランシュ)は、アルデヒドと白いリネンの清潔感が強く、よりドライでシャープ。CLEAN(クリーン)のWarm Cotton(ウォーム コットン)は、ランドリーの清潔感を直線的に見せます。レプリカ バブル バスは、そのどちらよりも浴室寄りで、ココナッツミルクとムスクによる親密な温度があります。
購入ガイド・価格・おすすめ度
容量は地域によって異なりますが、10mL、30mL、100mLの展開が確認できます。日本参考価格では10mL 5,280円、30mL 11,880円、100mL 23,540円という記録があります。価格や在庫は変動するため、購入時は公式サイトや正規取扱店で確認するのが確実です。
おすすめしやすいのは、石けん系、白いフローラル、ムスク、ココナッツミルクのやわらかい甘さが好きな人。逆に、完全にドライで無機質な石けん香を求める人や、ココナッツの甘さが苦手な人は、肌で試してから選びたい香りです。
試す時は、ムエットだけでなく肌にのせて、トップの泡が落ち着いた後を確認したいところです。最初はソープとシトラスが明るく出ても、時間が経つとミルク、ムスク、パチョリの丸みが出ます。ここを心地よい湯上がり感と感じるなら、バブル バスの魅力がよく出ます。
実際の使用感・シーン・評判
似合うのは春夏の日中、オフィス、カフェ、休日、入浴後、就寝前です。強く拡散する香りではなく、近い距離でふわっと残るタイプなので、白シャツや淡いニット、清潔感を出したい日常の服装に合わせやすいです。秋冬でも、室内でやわらかく使うなら心地よく馴染みます。
評判では、お風呂上がりのよう、泡立つようにクリーミー、上質なボディウォッシュのよう、という好意的な声があります。一方で、ココナッツが強い、思ったより甘い、持続が物足りないという声もあります。つまり、この香りの分かれ目は清潔感そのものではなく、泡の奥にあるミルキーな温度を心地よく感じるかどうかです。
使う量は少なめで十分です。手首や胸元に軽く置くと、近い距離でソープとムスクがやわらかく香ります。香りを大きく飛ばすというより、清潔な印象を自分の近くに置く使い方が似合います。バスルームの記憶を、外出先でも静かに持ち歩くような一本です。


