鉛筆を削ったときの匂いが、画材の記憶を呼び起こす。「グラファイト」は、香りと色の交差から生まれた作品です。鮮やかな花や果実ではなく、机の上に残る粉と木くずのような、身近で乾いた感触に目を向けています。
モノクロームの黒鉛、チョーク、削った木を思わせる香りが重なります。灰色の鉱物的な陰影に、白い粉のような柔らかさと、木の素朴な温かさが加わる構成です。甘さを前に出すよりも、乾いた質感の違いを感じさせます。
紙と鉛筆に向かう静かな時間に似合う一本です。線を引く道具の手触りが、香りの輪郭にもつながっています。


